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History of MIN-ON

VOL.03 「民音音楽博物館」の歴史
~「民音音楽資料館」の発足から~

民衆のための音楽を目指して

スペシャルてい談

民音設立10周年を機に設立された民音音楽博物館。設立の経緯から現在に至るまで、さらに未来への展望を、国立音楽大学名誉教授である海老澤敏氏をゲストに迎え、当博物館館長と館長代行と共に伺いました。

7これまでの企画展示

――― 今、民音音楽博物館のほうでは、「常設展示」と共に、期間ごとにテーマを決めて開催する「企画展示」とがありますが、これまでどのような企画展示がありましたでしょうか?

上妻:1997年に信濃町へ移転後、「展示コーナー」新設のオープニング記念として、「オルゴール」展から始めました。その翌年には、「エジソンと蓄音機展」(1998年)、シルクロードの衣裳を中心とした『シルクロード 民衆の「音楽文化」大交流展』(1998年~1999年)を。それから、当館は、明治期から現代までの西洋音楽に関する和書を集めるという使命がありまして、資料収集の過程で同じように合わせて収集した錦絵を、「錦絵にみる幕末~明治の音楽風景~」展(2000年)として、当時の江戸期から明治期にかかれたものを中心に展示をやりました。それと同じような形で集めたのが楽譜で、大正ロマン期のセノオ楽譜を中心に2回、第1回目は、「“セノオ楽譜”表紙絵が奏でる大正ロマンと竹久夢二の世界」展(2000年)、第2回目は、「竹久夢二と大正浪漫の世界-セノオ楽譜装画が語る-」展(2007年)として行いました。

「夏休み子供のための楽器展」
「夏休み子供のための楽器展」

それから、人物については、「山田耕筰資料展」(2001年)、中国の「梅蘭芳記念展」(2002年)、ご遺族から資料を寄贈頂きましたものを中心に、「我等のテナー 藤原義江」展(2006年)を、齋藤秀雄先生の生誕100年を記念して、「齋藤雄生誕100年記念展」(2002年)もやりました。

小林:民音の創立40周年のときには、40年間の歴史をたどる特別展や、「ユーディー・メニューインの軌跡」展では、初めて関西での移動展もやりましたね。2004年5月には、「音楽博物館」として新たにスタートしましたので、開館記念として、「“シルクロード”にまつわる楽器展」を改めてやりました。そうそう、民音の公演で招聘しております「ハンブルク・バレエ」の芸術監督、ノイマイヤーさんが、ニジンスキーに大変な影響を受けているということで、「『バレエの世紀』~ニジンスキーからノイマイヤーまで~」という展示もやらせて頂きました。実は、その頃から、楽器を子供たちに触ってもらえる展示をやろうじゃないかということで、2004年から、夏休みにあわせて、「夏休み子供のための楽器展」を毎年開催しています。

上妻:更に形を変えまして、日本の歴史の中で、時代を象徴するものということで、大道芸の大衆芸能史展「民衆の讃歌―大道芸とパフォーミング・アーツ」展(2005年)を。この時は、実際、ロビーホールで大道芸のショーもやりまして、大変に好評でした。そのあと、大使館関係として、ルーマニア大使館からの要請で、「没後50周年記念~ジョルジェ・エネスク展」(2005年)もやりました。齋藤秀雄先生のコレクションの中にも、エネスクの楽譜がありまして、直筆ではないんですけれど、当時では、珍しい、おそらく誰もお持ちでなかっただろうオーケストラの楽譜で、それもあわせて展示させて頂きました。その翌年の2006年、「モーツァルト生誕250周年記念展」をやりました。実は、ひとつの展示として、企画展の3か月間で、4万7千人の来館者がいらっしゃいまして。これは、信濃町に移ってから12年間の歴史の中で、最高なんです。日本人ってモーツァルトが大好きなんですね。

「モーツァルト生誕250周年記念展」
「モーツァルト生誕250周年記念展」

海老澤:2006年、モーツァルト生誕250年ということで、その前の記念の年、没後200年が1991年でした。その前に1984年、「アマデウス」という映画が封切られまして、世界的に有名になりまして、“アマデウス”現象と世界中で言われていた。サントリー音楽文化展があって、「アマデウス展」・・これは、ザルツブルクのモーツァルテウムとウィーンの楽友協会の資料が主ですけど、そこに、私個人の資料も出しました。91年は、自筆譜や直筆の手紙や、その他いっぱい来ましたしね。それで2006年は、やっぱり記念の年だから、向こうからの出品をいれて、大きな展覧会を計画したんですよ。普通は、記念のときには、展覧会はあるものですけど、しかし、生誕250年祝年には、どこも経済的になかなか難しい。ちょうど民音からお話を頂いて。ここで私の個人のコレクションで展覧会をやって頂いたんで、モーツァルトさんには、顔がたちました(笑)。

「ピアノ誕生300年」展

小林:やっぱり展示は、心を入れた分だけ、ご覧になる方に伝わりますね。「ピアノ誕生300年」展を開催したときに、私よりもっとご年配の方が、展示を見て、「ヤマハさんっていう人がいたのね。」“KAWAI”が河合、“YAMAHA”が山葉、って意味を知らないまま何十年も生きてきて、展示をご覧になって、「あぁ、ヤマハさんって人がいたんだ」って。これからも、展示を一周すると、新たな発見がありました、と言って頂けるような展示にしていきたいと思っています。

「ピアノ誕生300年」展