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MIN-ONミュージック・ジャーニー~ルワンダ編~

皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、ルワンダ共和国へ、駐日ルワンダ共和国大使館の皆様とともにご案内いたします。
・キガリ虐殺記念館でルワンダの歴史を学ぼう
・ムサンゼの火山国立公園でゴリラと出会い、大自然の美しさを体験しながら自然保護活動における地域社会の役割を学ぼう
・アカゲラ国立公園で「ビッグ5」(※)が暮らす本格サファリを楽しもう
・アフリカ最古の森林の1つであるニュングェ国立公園で東アフリカ最長のジップラインを体験しよう
・ルワンダの伝統芸術、音楽、工芸などの文化を体験しよう
※ビッグ5:ライオン・ヒョウ・ゾウ・サイ・バッファローのこと
ルワンダの歴史
かつてのルワンダは、長きにわたり、一族の王によって統治される中央集権的な王国として存在していました。王は絶対的な存在であり、牧畜・土地・軍事の各長官を通じて統治が行われ、フツ族やツチ族、トゥワ族といった人々も相互依存のもと共生していました。
1899年にドイツの植民地になると、1919年には国際連盟の委任統治領としてベルギーの支配下に置かれます。ベルギー統治下では1959年からツチ族に対する迫害が始まり、数千人が犠牲となり、多くが国外に逃れました。さらにカイバンダ大統領による第一共和制、ハビヤリマナ大統領による第二共和制のもと、ツチ族への差別が制度化され、アパルトヘイトに類似した体制が築かれていきました。これらの分断と憎悪の政治が、1994年のツチ族へのジェノサイドへとつながります。
ツチ族へのジェノサイド(1994年)
1994年に起こったツチ族への虐殺行為は、わずか100日間で100万人以上のルワンダ人が残虐に殺害されるという20世紀最悪のジェノサイドへ発展します。 フツ族の民兵組織インテラハムウェと過激派のフツ族が、政府の支援のもと、山刀、こん棒、槍などの伝統的な武器を使ってツチ族および反対するフツ族を殺戮しました。このジェノサイドでは、国連平和維持軍の不作為によって犠牲が広がった点も重要な意味を持ちます。国連総会にて行われた1948年の「ジェノサイド条約(集団殺害罪の防止および処罰に関する条約)」の採択時に「ジェノサイドを二度と繰り返さない」と誓ったにもかかわらず、適切な救済が行われなかったことは、国際社会の深刻な失敗を象徴しています。
現在では、この悲劇を忘れないために、国連が毎年4月7日を「1994年のルワンダにおけるジェノサイドを考える国際デー」として定めています。追悼期間は7月4日まで続き、「クウィブカ(Kwibuka)」と呼ばれる追悼行事が行われます。
クウィブカはキニヤルワンダ語で「記憶する」という意味であり、記憶を継承し、歴史を学び、教訓を将来に活かす重要な機会です。7月4日はルワンダ愛国軍がジェノサイドを終結させた日であり、2025年大阪・関西万博ではルワンダのナショナルデーにもなっています。
人々と文化
ルワンダの人口は約1300万人であり、20歳以下が国民の約半数を占め、年齢中央値は22.7歳と非常に若い国です。文化的価値観として「団結・愛国心・社会的つながり・回復力・勤勉さ」などが共有されており、国民は共通語のキニヤルワンダ語を話します。その他の公用語は英語、フランス語、スワヒリ語です。

ルワンダは、1994年のジェノサイド後の課題解決に向けて独自の文化や価値観を活かし、「ウムガンダ(共同奉仕活動)」「イミヒゴ(公務員の実績契約)」「ガチャチャ裁判(伝統的裁判)」「アブンジ(調停委員会)」などを生み出しました。
音楽と舞踊は、ルワンダのあらゆる儀式に欠かせない要素であり、「ウムシャヤヨ」「イントレ」といった伝統舞踊は観客を魅了し続けています。
また、手工芸品も高い芸術性と創造力を誇り、特に「アガセチェ(手編みのかご)」は世界的にも高評価を得ています。
後述する「イミゴンゴ(幾何学模様のアート)」や成長を続けるファッション業界も、「Made in Rwanda」ブランドの象徴となっています。
ルワンダの文化
イミゴンゴ:ルワンダ独自のアート
イミゴンゴは自然素材のみを使用し、美しい幾何学模様を描く伝統工芸です。木の板にデザインを下描きし、牛糞と灰を混ぜたペーストで立体的な模様を形作ります。高級ホテルなどの内装としても人気があります。
伝統衣装「ウムシャナナ」
女性が身にまとう民族衣装で、腰に巻くロングスカート、ビスチェ、肩にかける布から構成されます。色鮮やかで優美なスタイルが魅力です。
近年では、ファッションの拠点としても知られ、国内外のデザイナーが集うイベントも開催されています。
音楽
編集部の“イチ押し”アーティスト:「Turi Hano」/Christianne Boukuru
柔らかで力強い歌声を持つブクルは、ルワンダの若い世代、そして未来を象徴する歌手です。彼女の歌には、「前の世代が築いたルワンダという国に、自分たちのエッセンスを加えながら発展させていく」という若い世代の想いが込められています。
伝統音楽と舞踊
ルワンダにおいて、歌と踊りはほとんどすべての行事に欠かせない要素となっています。伝統的なルワンダ音楽は5/8拍子が特徴で、結婚式などの家庭的イベントから政治的な集まり、賓客の歓迎式典といった公式の場に至るまで幅広く演奏されます。特に「イントレ」は、2024年にユネスコ無形文化遺産に登録されたダイナミックな舞踊です。
この夏、万博でイントレの舞踊団に会える!
大阪・関西万博では、各国・地域の公式参加者により、1日ずつ「ナショナルデー」と呼ばれるイベントが行われています。ルワンダのナショナルデーは7月4日(金)。
EXPO ナショナルデーホール「レイガーデン」で行われる式典では、イントレを披露する舞踊団の出演が決まっています。夏に万博へ足を運ばれる方は、ルワンダ・ナショナルデーで、ぜひイントレのリズムを体感してみてください。
・日時:2025年7月4日(金)
・会場:EXPO ナショナルデーホール「レイガーデン」
また、ルワンダには数多くの伝統楽器があります。
- ンゴマ(Ngoma):木をくり抜いて作り、シマウマの皮を張った両面太鼓
- イナンガ(Inanga):両手で弾く弦楽器


いずれも民音音楽博物館にて展示されています。
ここでは、ルワンダの伝統音楽を語り継ぐアーティスト集団「Vincent Nsengiyumva and the Komezinaganzo」による、イナンガの演奏をお聴きください。
イナンガ演奏
最後に、駐日ルワンダ共和国大使館が推薦する音楽家の演奏をお楽しみください。
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“Uzaze urebe” – Massamba Intore
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“Uwangabiye” - Lionel Sentore
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“Warakoze” - Jules Sentore
皆さん、ルワンダへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。
協力、写真提供:駐日ルワンダ共和国大使館
Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-