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MIN-ONミュージック・ジャーニー~リベリア編~
マーシャル湿地 ©MICAT
皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、大西洋に面した西アフリカの国、リベリア共和国へ、駐日リベリア共和国駐日大使館の皆様とともにご案内いたします。
(本記事掲載の全ての写真は、リベリア共和国駐日大使館提供)
・モンロビアでリベリアの歴史と文化に触れよう
・ウォーターサイドマーケットでリベリア料理を食べてみよう
・サポ国立公園で可愛らしいコビトカバに会おう
リベリア共和国は1822年にアメリカ植民協会(ACS)のプロジェクトとして、アフリカ系アメリカ人がリベリアの土地に移住したことにより建国され、1847年に独立を果たしました。国名はラテン語で自由を意味する「Liber」に由来します。
編集部の“イチ押し”アーティスト:幻のアフリカンジャズバンド「Kapingbdi」
Kapingbdiは1970年代後半にリベリアで結成されたバンドです。ジャズやファンク、ロック、ソウルにアフリカの力強いリズムを融合させた独自のサウンドにより、1970〜80年代にはヨーロッパやアメリカでツアーを成功させるなど、国際的な存在となりました。バンドは1980年代半ばに解散を迎えましたが、2019、2020年にリマスターアルバムがリリースされています。
旅の始まりは、2019年にリリースされた「Born in the night」より、1曲目に収録されている「Don't Escape」をお聴きいただきます。
活気あふれる首都モンロビア
リベリアの首都モンロビアは、アメリカ植民協会の支援者であった当時のアメリカ大統領ジェームズ・モンローにちなんでつけられた地名です。政治・経済の中心地であるとともに、リベリアの歴史を学べる文化の拠点でもあります。
プロビデンス島
モンロビアを訪れたら、最初に足を運びたいのがプロビデンス島です。1822年にアフリカ系アメリカ人が初めて入植した島とされており、リベリアの歴史はこの地から始まったと言っても過言ではありません。
島内には美しい緑と独立・平和を象徴するモニュメントがあり、リベリアを訪れるツアーでも定番のスポットとなっています。
プロビデンス島 ©United Nations Photo
リベリア国立博物館
リベリア国立博物館は1843年に建てられた歴史ある建物です。リベリアの歴史と文化、芸術を示す数々の貴重な資料が展示されており、モンロビアを代表する文化施設でもあります。
長年の内戦による影響で大きな被害を受けた建物でもありますが、修復・復元によって2017年11月に再オープンされました。
リベリア国立博物館 ©Liberia’s Official Tourism Website
センテニアル・パビリオン
センテニアル・パビリオンは、1947年にリベリア独立100周年を記念して建てられたホールです。また、歴代大統領の就任式が行われる場所でもあり、地下には多くの記念碑や銅像があります。リベリア史上最長の在任期間を誇る大統領として同国を27年間統治した、ウィリアム・V.S.・タブマンが埋葬されています。
センテニアル・パビリオン ©Liberia’s Official Tourism Website
リベリアの暮らしと食文化
モンロビアの中心部に位置するウォーターサイドマーケットは、地域の生活に根ざした活気あふれる市場です。路地には個性豊かな露店が立ち並び、新鮮な農作物や衣類、家庭用品、伝統工芸品など、ありとあらゆるものが取り扱われています。
(左)モンロビア市のウォーターサイド・マーケット ©enjoy_liberia_travel
(右)モンロビア市の魚屋 © Nick Fraser 2010
木彫りやかご編み、陶芸、仮面作り、布染めはリベリアの伝統的な芸術表現です。これらの工芸品には、文化的な物語や信念、社会的な価値観を表す繊細なデザインと象徴的な装飾がよく施されています。
伝統工芸品 ©Liberia’s Official Tourism Website
マーケットを訪れたら、やはり気になるのはその地でしか味わえない食べ物です。屋台では、芋や米で作ったお団子のような「フフ」、肉とご飯を混ぜてトマトソースで炒めた「ジョロフライス」、バナナを揚げた「プランテン」などを楽しむことができます。
(左)ジョロフライス ©African Food Network
(右)プランテン ©Liberian Dish Recipes
そして、リベリアと言えばスパイスの名産地としても知られています。「ギニアしょうが」やハバネロは料理によく使われているほか、マーケットでも人気を集める商品です。
(左)ギニアしょうが ©Liberia’s Official Tourism Website
(右)ハバネロ ©Olga’s Liberian Fried Pepper Facebook Page
ロサンゼルス映画祭の最高賞受賞作品『リベリアの白い血』
2015年、ベルリン国際映画祭にリベリアを舞台にしたある映画が出品されました。その名も『リベリアの白い血』は、日本人の福永壮志氏が監督・脚本、村上涼氏が撮影監督を務め、リベリア政府の設立したリベリア映画組合と共同制作を行った移民の物語です。
リベリアのゴム農園で働く主人公がニューヨークへ移り住み、移民としての現実に直面していく様子を、日本人の監督が淡々と描くストーリーには世界中から称賛が集まっています。主人公のシスコ役を演じるビショップ・ブレイはゴム採取の仕事をしていた経験もあり、その演技力はLAタイムズ紙などで高い評価を受けました。
広大な熱帯雨林が広がるサポ国立公園
リベリア東部に位置する「サポ国立公園」は、約1,800平方kmもの広大な熱帯雨林の保護地域です。世界随一の生物多様性を持ち、世界三大珍獣のコビトカバをはじめ、多くの固有種が分布する貴重なエリアです。
サポ国立公園のコビトカバ ©Liberia’s Official Tourism Website
公園内では農業や建築、狩猟といった活動が厳しく禁止されていますが、森林開発局の手配によってキャンプをすることも可能です。また、ガイド付きでハイキングやカヌーツアーも行われており、手つかずの自然を思う存分に味わうことができます。
クパタウィー滝
クパタウィー滝 ©Liberia’s Official Tourism Website
モンロビアから車で3時間のところにあるクパタウィー滝は、水泳やピクニックを楽しめる場として、地元の人々に人気のあるスポットです。水のせせらぎとともに沢登りをし、手つかずの自然を散策しながら冷たい水に身を浸す経験は、忘れられない冒険になることでしょう。
周囲にはクパタウィー・リゾートと呼ばれる、素朴な藁葺き屋根の宿泊施設が整備されており、夜には地元の食材を使った食事を楽しむことができます。また、大自然のなかでキャンプをすることも可能です。クパタウィー滝にはライフガードが常駐しており、質問や相談があればいつでも対応してもらえるので安心です。
クパタウィーリゾートでのキャンプファイヤー ©Kpatawee_Resort
リベリアの音楽文化
リベリアでは戦争により劇場やホールなどの建物が被害を受けたため、現在は音楽だけに特化した場所はありません。そのため、市庁舎やサミュエル・カニオン・ドウ・スタジアム、プロビデンス島といった広い場所が音楽の舞台として活用されています。人々の生活に、音楽が深く浸透していることを示す象徴的なエピソードといえるでしょう。
リベリアの伝統的な音楽では、他のアフリカの国々と同様に、ドラムをよく使いますが、ドラムと共に、「サーサー」と呼ばれるビーズのついたガラガラが使われるのが特徴的です。
サーサー ©Liberia National Tourism Association
リベリアの音楽は、アメリカ文化の影響を受けている側面が強いといえます。しかし、同時に自国のアイデンティティも大切にされており、この地ならではの音楽シーンも発展しています。
若者に人気のHipco
1980年代にリベリアで生まれた音楽ジャンルであり、ヒップホップ文化に影響を受けたラップのスタイルです。リベリアの歴史や貧困、不平等といった社会的なテーマが題材とされ、キャッチーなアフリカンのリズムと共感性の強い歌詞が若者を惹きつけてきました。
後ほどご紹介するQueen EndeeやSemahなどの著名アーティストを輩出しているほか、ユニセフの支援を受けて感染症対策の啓発ソングが作られるなど、現在では社会的に重要な影響力を持つまでに発展しました。
最後に、駐日リベリア共和国大使館が推薦する音楽家の演奏をお楽しみください。
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"OBAA" - Miatta Fahnbulleh
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"Wakii Remix ft. Pck, L'Frankie" - Queen Juli Endee
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"No One Like You" - Semah X Flavour
皆さん、リベリアへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。
©Sarah-Jean
協力、写真提供:リベリア共和国駐日大使館
Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-