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2023/01/26 ミュージックジャーニー

MIN-ONミュージック・ジャーニー~マルタ編~

首都バレッタの美しい景観


皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、温暖な地中海に浮かぶ島国マルタ共和国へ、駐日マルタ共和国大使館の皆様とともにご案内いたします。

マルタはマルタ島、ゴゾ島、コミノ島からなる諸島です。面積は316平方km、人口はおよそ52万人ととても小さな国ですが、穏やかで過ごしやすい気候と美しい街並み、豊かな自然から世界的にも人気のリゾート地として親しまれています。

 

 マルタの旅のしおり 

・世界遺産に登録された巨石文明の遺跡群を見にいこう

・首都バレッタでマルタの歴史に触れよう

・コミノ島の透き通るようなブルーラグーンに飛び込もう

・豊かな食材を活かしたマルタ料理を思う存分に味わおう

 

 

マルタの歴史

マルタという国名の由来は、フェニキア語で「港・避難所」を意味する“メリタ”にあります。古くから海上交易の要衝としてヨーロッパのさまざまな大国と接してきたマルタには、イギリスやイタリア、フランスをはじめとする各国の優れた文化が残されているのが特徴です。

マルタの歴史

 

ピラミッドより1000年も古い巨石神殿群

マルタに人類が住み始めたのは紀元前5200年頃の石器時代後期とされています。紀元前3500年頃になると、各地に巨大な石器神殿が次々と建造され、島内に巨石文明が広がっていきます。

これはエジプトのピラミッドより1000年も早いタイミングにあたり、当時の文明がいかに先進的なものであったのかを伺わせます。この頃に建てられた神殿は現在でも30基以上確認されており、各地に点在する巨石神殿群は歴史的な価値や保存状態の良さが評価され、1980年には世界遺産に登録されました。

ジュガンティーヤ神殿

ジュガンティーヤ神殿

 

要衝として宿命づけられた激動の歴史

紀元前にフェニキア人が地中海貿易の拠点としてマルタに定住すると、その後はカルタゴ、ローマ帝国、東ローマ帝国、アラブ、ノルマン王朝と列強の支配が続きました。そして、1530年になると、ホスピタラー騎士団(のちのマルタ騎士団)がギリシャからマルタに移り住みます。

 

誇り高きマルタの騎士団

マルタ騎士団は、中世ヨーロッパに結成された3大騎士団のうち、現存する唯一の騎士団です。1522年にギリシャのロードス島を追われたホスピタラー騎士団が1530年にマルタ島へ移り住むと、そこから268年間にわたって定住しました。このときに築かれた文化は、今でもマルタに大きな影響を残しています。

しかし、1798年にナポレオン軍に占拠されると、マルタ騎士団は国外に追われ、本部をローマへ移します。その後、マルタ島はイギリスの植民地となり、1964年にイギリスから独立を宣言すると、マルタ騎士団とは別の国家として発展していきます。

現在のマルタ騎士団は、領土を持たないながらも国際法上の主権実態が認められ、世界の約110ヶ国と外交関係を築きながら、国際慈善団体として医療奉仕などの活動を行っています。


ナポレオン軍に占拠されてからは、マルタはフランス、イギリスの領土の一部となり、1964年に女王エリザベス2世を国家元首としてイギリスから独立しました。1974年には共和制に移行し、初代大統領を任命して現在にいたります。

マルタの騎士団マルタの騎士

街全体が世界遺産の首都バレッタ(ヴァレッタ)

首都バレッタは、1571年にマルタ騎士団によって建設された都市であり、当時の騎士団長の名前が名称の由来となっています。難攻不落の都市として設計され、街全体が要塞になっているのが特徴であり、堅固なつくりと美しい街並みによって街全体が世界遺産に登録されています。

マルタの首都バレッタ


マルタ共和国の重要な政治施設が集まる政治・経済の中心地ですが、オシャレなカフェやレストランが並ぶ都会的な雰囲気や美しい港も魅力であり、観光の拠点にもうってつけのエリアです。

マルタの首都バレッタマルタの首都バレッタ

美術館が併設された「聖ヨハネ大聖堂」や、当時の甲冑や装飾品が飾られている「騎士団長の宮殿」(かつてのマルタ騎士団団長の宮殿で、現在はマルタ共和国大統領府として使用)、1731年に建てられてから現在まで稼働し続けている「マノエル劇場」など、見どころも豊富です。また、1921年に、日本の皇太子が昼食会を行った「カジノ・マルタ」もあります。

聖ヨハネ大聖堂聖ヨハネ大聖堂

個性豊かな2つの島 ゴゾ島とコミノ島

マルタには首都のあるマルタ島のほかに、ゴゾ島とコミノ島の2つの島があります。それぞれマルタ島からフェリーで数十分の位置にあるため、観光に訪れたらぜひ足を運びたいスポットです。

 

のんびりと穏やかな時間が流れるゴゾ島


ゴゾ島は豊かな自然と牧歌的な雰囲気が魅力であり、のんびり過ごすには最高の場所として人気を集めています。島の中心にある要塞「チタデル」は、島と海の美しい景色を楽しめる絶好のビューポイントとなっており、雨季になれば美しく緑色に輝く一面の草花が出迎えてくれます。

ゴゾ島チタデル

島内には赤く輝く砂浜が特徴的な「ラムラ湾」や、ローマ時代から使われている塩田「ソルトパン」など、一風変わった見どころが数多くあります。ソルトパンで作られる塩は粗削りかつ大粒で、現在でもスーパーなどで販売されており、お土産としても人気です。

ラムネ湾ソルトパン

抜群の透明度を誇るブルーラグーンが魅力のコミノ島

面積は約3.5平方km、定住人口はわずか数人という小島ですが、地中海トップクラスの透明度を誇るブルーラグーンが多くの観光客を引き寄せます。透き通るような海で行うダイビングやシュノーケリングが定番ですが、手付かずの自然が残る島内のハイキングも人気です。

コミノ島コミノ島

マルタの伝統文化

マルタにはさまざまな国の良い面を融合させた独特の文化が存在します。今回は料理と音楽の2つの側面からマルタの魅力をご紹介します。

マルタの伝統料理

海に囲まれたマルタでは、新鮮な魚介類が豊富にとれるため、素材を活かしたシンプルな料理も多いです。代表的な主食は「ホブス」と呼ばれる大きくて丸いパンです。海水をろ過してから練り込むため、素朴ながらも絶妙な塩味を感じられる唯一無二の風味になります。

マルタの伝統料理マルタの伝統料理


マルタ人に広く愛されているもう1つの料理が、手のひらサイズの香ばしいお菓子「パスティッツィ」です。ラードを染み込ませた生地でリコッタチーズやつぶした豆を包むシンプルなお菓子ですが、カリッとした食感とあっさりした味わいが人気の秘密です。

パスティッツィパスティッツィ


マルタで肉料理といえば、マルタ騎士団が持ち込んだのが起源とされるウサギ料理が挙げられます。ウサギの煮込み料理「フェンカータ」は、伝統料理として主にお祝い事で食べられます。

また、フルーツとして「ウチワサボテン」の実を食べるのも、マルタの食文化の特徴です。サボテンの実を使ったジャムやリキュールは、現地の名産品としてあちこちで売られています。

ウサギの煮込み料理「フェンカータ」マルタのレストラン

マルタの音楽文化

マルタには「アーナ」と呼ばれる民族音楽があります。マルタ語で「歌」を意味する言葉であり、古くから歌い継がれている民族歌謡です。アーナにはいくつかの異なるスタイルが確立されていますが、歌い手の心情を即興の歌詞にして、連歌のように掛け合いながら歌う「ポッタ・ウ・リスポスタ」が代表的です。

マルタには音楽にまつわるさまざまなイベントが開催されており、世界中から観光客が集まります。「マルタ国際芸術祭」は、音楽・ダンス・演劇などの分野で世界的に優れたタレントが集う夏の恒例イベントです。

マルタの音楽マルタの音楽


それ以外にも、毎年7月に行われる「マルタ国際ジャズフェスティバル」や、エレクトロニックミュージックの有名アーティストが集う「グリッチフェスティバル」など、幅広いジャンルのイベントが開催されています。

マルタの音楽フェスティバル
 

大使館推薦の音楽家

ここで、駐日マルタ共和国大使館が推薦する音楽家を新旧織り混ぜながらご紹介します。

 

  1. ジョセフ・カレヤ(テノール歌手)


 

  1. カール・フォオリーニ(作曲家)
    演奏:ニコ・ダルマニン(テノール歌手)、ブライアン・シェンブリ(指揮)、マルタ・フィルハーモニー管弦楽団


 

  1. ブリクニ


 

  1. エトニカ


 

  1. ニューヴィクトリアン



マルタでは映画産業も長年にわたって力を入れられており、国内のみならず世界的な飛躍へと着実な成長を遂げています。
マルタ映画の1つである『ルッツ 海に生きる』という作品は、世界中で数多くの賞に輝き、日本でも一般公開されました。本作のストーリーは、マルタの漁師が伝統的な漁業で家族を養うことが徐々に難しくなり、違法な闇漁業に手を出さざるを得なくなるというものです。

現在のマルタの漁業が直面する課題や不条理に鋭く切り込んだ人間ドラマであり、完成度の高さとドキュメンタリーのようなリアリティが見どころになっています。

映画『ルッツ 海に生きる』予告映像(日本では上映終了)

 

旅のおみやげ マルタの伝統ガラス工芸

マルタには、マルタ騎士団がもたらした多様な文化・芸術が今でも息づいています。なかでもガラス細工はマルタを代表する工芸品であり、ほかの地域にはないカラフルで独創的なデザインは、海外でも高く評価されています。

どれも手作りの一品物ばかりなので、自分らしいデザインの品物をおみやげに持ち帰れば、忘れられない旅の思い出になるでしょう。

マルタの伝統ガラス工芸マルタの伝統ガラス工芸
マルタの絶景

皆さん、マルタへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供: 駐日マルタ共和国大使館

Min-On Concert Association
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