HOME > NEWS一覧 > MIN-ONミュージック・ジャーニー~エクアドル編~

NEWS

2022/11/17 ミュージックジャーニー

MIN-ONミュージック・ジャーニー~エクアドル編~

皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、南米大陸の北西部に位置するエクアドル共和国へ、駐日エクアドル大使館の皆様とともにご案内いたします。

スペイン語で「赤道」を意味するエクアドルは、その名前どおり赤道の真下にあります。北はコロンビア、東と南はペルー、西側は太平洋に面しており、国土は南北を背骨のように貫くアンデス山脈によって大きく3つのエリアに分かれています。

 エクアドルの旅のしおり 

首都キト

・“地球の真ん中”赤道記念碑公園で写真を撮ろう

・世界遺産第一号に登録された旧市街を散策しよう

・オタバロの土曜市で地元の名産品を探そう

 

港湾都市グアヤキル

・セミナリオ公園で人懐っこいイグアナと触れ合おう

・グアバを使ったスイーツ「エスプミージャ・デ・グアヤバ」を食べてみよう

 

ガラパゴス諸島

・美しい自然とめずらしい動植物に会いに行こう


今回は首都のキトと港湾都市のグアヤキル、ガラパゴス諸島の3つのエリアを音楽とともに旅しましょう。

 

赤道にもっとも近い首都 キト

首都のキトは赤道直下にある街です。首都の中ではもっとも赤道に近い都市とされるキトですが、アンデス山脈の麓に位置し、標高2,800mを超える高地のためそれほど気温が高くなることはありません。

 

人気の観光地 赤道記念碑公園(ミタデルムンド)

中心部の近くには、スペイン語で「地球の真ん中」を意味するミタデルムンド(赤道記念碑公園)があります。18世紀にフランスの科学アカデミーの測量技術で指定された場所であり、園内には当時の測量に関する資料や赤道のモニュメント、博物館などのさまざまな見どころがあります。

記念碑の前には北半球と南半球を分ける線が引かれており、赤道をまたいで写真を撮るのが観光客に人気です。




世界遺産に登録された歴史地区 旧市街

キトの旧市街は街全体が世界遺産となっており、歴史的に優れた価値を持つ建造物が多く並ぶエリアです。南米でも随一の保存状態を誇る歴史地区で、世界で最初に登録された12の世界遺産の1つでもあります。




なかでも1605年から160年もの歳月をかけて建築された「ラ・コンパニーア教会」は、合計7トンもの金を使って装飾された豪華絢爛なつくりが特徴的で、別名「黄金の教会」とも呼ばれています。キトの人々にとって大切な信仰の場であるとともに、観光客にも人気のスポットです。



現地の生活を肌で感じられる街 オタバロ

キト郊外にあるオタバロは、オタバロ族と呼ばれるインディヘナ(先住民)が多く住む街です。ここでは青空の下で開かれる土曜市が有名であり、食品や日用品、民芸品などの豊富な品揃えを誇る地元の人々に欠かせないスポットとなっています。



街の3分の1が市場になるというとても大規模なマーケットにおいて、特に目を引くのはこんがりと焼けた豚の丸焼きです。丸焼きの豚をスライスして、野菜の付け合わせと一緒にお皿に盛った「オルナード」は、パリッとした豚の皮をそのまま楽しめるエクアドルの名物料理です。


オタバロ族は、古くから優れた織物技術を持っていたことで知られており、現在でもとても華やかで美しい民族衣装が人気です。白のブラウスの胸元や肩にカラフルな花のビーズと手縫いの刺繍があしらわれた衣装も、もちろんマーケットで購入することができます。



国内最大の港湾都市 グアヤキル

太平洋側に位置するグアヤキルは、エクアドル最大の都市であり、経済や商業の中心地です。一年を通して気候は温暖で、美しい海と美味しい食事が楽しめる人気の観光地でもあります。

 

見どころの多いグアヤキルの街

市内最大の見どころとされるセミナリオ公園は、園内にイグアナが大量に住んでおり、通称「イグアナ公園」とも呼ばれています。園内のイグアナは人との接触に慣れていて、自由に触ったり遊んだりすることができるため、爬虫類好きにはたまらないスポットとなっています。



イグアナ公園の近くは、大型商業施設や遊園地などがそろった近代的なエリア「マレコン2000」、グアヤキルを360°見渡すことができる絶景の「サンタアナの丘」など、徒歩でアクセスできる距離に複数の見どころがそろう観光名所です。




エクアドルの伝統料理

良質なシーフードが手に入るグアヤキルは、エクアドル屈指のグルメの街でもあります。グアヤキルの飲食店では、魚介だけでなくさまざまな食材を使った伝統料理を味わうことができます。

世界でもトップクラスのバナナの生産国でもあるエクアドルでは、調理用バナナをスライスして揚げた「トストーネ」が人気です。2度揚げしたトストーネに塩を振り、ポテトチップスのようにして食べるのが一般的な食べ方です。



ほかにもクミンなどのスパイスや野菜が入ったチキンライス「アロス・コン・ポジョ」や、ジャガイモとチーズの入ったアンデス地域伝統のスープ「ロクロ」などの伝統料理があります。



食後には、グアバの果汁で卵白を泡立てたスイーツ「エスプミージャ・デ・グアヤバ」がおすすめです。カラースプレーとストロベリーで彩られた可愛らしい見た目はアイスクリームのようにも見えますが、実際にはフワフワとした食感のメレンゲになっています。エクアドルはグアバの生産地でもあるため、フレッシュなグアバ果汁をふんだんに使って、見た目以上にさっぱりとしたやさしい味わいに仕上げられているのが特徴です。



独自の生態系を持つガラパゴス諸島

エクアドル本土から西に約1,000Km、太平洋に浮かぶガラパゴス諸島は、かのダーウィンに進化論の着想を与えたとされる独自の生態系が有名です。東西およそ200Kmという広範囲に点在する大小123の島は、海域一帯も含めてキトの市街とともに世界遺産第一号に登録されています。




ガラパゴス諸島までは、首都のキト、またはグアヤキルから空路で向かうのが一般的です。

ガラパゴス諸島 〇✕クイズ


問題


ガラパゴス諸島では、動物に触れることは禁止されている。その理由は、万が一ケガをしてもすぐに救助隊が駆け付けられないためである。

答えはここをクリック
答え:×

人間のニオイがついた動物は仲間外れにされる恐れがあり、生態系を壊してしまうリスクがあるため、ガラパゴス諸島では動物との接触が禁止されています。ほかにも、禁止されている行為としては以下のようなものが挙げられます。

 

・動物、植物(果物も含む)は持ち込まない

・動物、植物、石、貝などは持ち帰らない

・動物に触れない、餌をあげない

・トレイル以外を歩かない

・ゴミを捨てない

・フラッシュ撮影をしない

・たきび、喫煙をしない

 

このように、ガラパゴス諸島では、生態系と自然環境が徹底的に保守・管理される仕組みとなっています。


ガラパゴス諸島の魅力と言えば、やはり多種多様な生き物に出会えることです。現存する最古の爬虫類であるガラバゴスゾウガメは、体長1.5m、体重は250kgを超えるものも存在する地球上最大のリクガメでもあります。



ほかにも、海に潜って海藻を食べるウミイグアナ、真っ青な足がトレードマークのアオアシカツオドリ、北半球側に生息する唯一のペンギンであるガラパゴスペンギンなど、約5,500〜6,000種ともいわれる希少な動植物が広く分布しています。



エクアドルの音楽文化

エクアドルには多彩なジャンルの音楽文化が存在しています。山岳地方ではケーナやサンポーニャといったアンデス音楽の楽器の音色が主流になっており、海岸地方ではメレンゲやサルサなどのカリブ音楽から影響を受けているのが特徴です。

また、2015年にはエクアドルのマリンバ音楽が、コロンビア・エクアドルの伝統的詠唱・舞踊と合わせてユネスコ無形文化遺産に登録されました。マリンバは木琴(シロフォン)によく似た楽器ですが、音色はより柔らかく、温かみがあるのが魅力です。

5オクターブの広い音域と、繊細にも情熱的にも演奏できる表現の幅広さから、民族音楽、ポップス、クラシックなどのさまざまなジャンルで使用される汎用性も特徴です。エクアドルのマリンバは、民音音楽博物館にも貯蔵されています。



旅のおみやげ トキーヤハット

トキーヤハット(トキージャハット)とは、エクアドル産のトキヤ草を編んで作る帽子のことです。良質な天然繊維を使い、優れた伝統技術によって一つひとつ丁寧に編み込んでいくのが特徴であり、高級なものでは完成までに6ヶ月を要することもあります。



軽くて丈夫なトキーヤハットは、その品質の高さが世界的にも広く認められており、2012年には制作方法がユネスコ無形文化遺産に登録されています。しかし、国際的には、“パナマハット”という誤った名称が広く知られているのが現状です。

これは、国際的に注目度の高かったパナマ運河の建設時に、関係者の多くがエクアドルから送られたトキーヤハットを着用していたことに由来しています。本来は、エクアドルで生まれた伝統品であり、現在も大切に受け継がれています。

トキーヤハットはストローハット(いわゆる麦わら帽子)と比べて、カジュアルなファッションからスーツスタイルまで、幅広く何にでも合わせられる汎用性の高さが魅力です。旅のおみやげに、お気に入りのデザインのものを見つけてみてはいかがでしょうか。



民音が、これまでエクアドルから招聘したアーティストの中から、2019年9月に駐日エクアドル大使館と「日・エクアドル外交関係樹立100周年事業 閉幕記念」として開催したレクチャーコンサートで、軽快な演奏を披露した「SISAY」の演奏を2曲ご紹介します。

  1. テヒエンド ヌベス



  1. モリエンドカフェ


 

 

<SISAY(シサイ)>

SISAYは、文化大使として世界的に活躍し、南米エクアドル音楽を代表するバンドです。グループ名は「花が咲く」を意味します。

エクアドルの民族音楽を基礎に、アンデス、ラテンに、現代音楽の要素も取り入れながら、長年の歴史と経験の中で築いてきた独自の「ワールド・ミュージック」の世界を表現しています。
これまで、エクアドル国内の民族音楽祭などでは数々の賞を受賞。2013年はエクアドル各地でライブツアーを行い、母国でも不動の人気を誇っています。


最後に、駐日エクアドル共和国大使館が推薦する音楽家をご紹介します。

  1. Mirella Cesa



グアヤキル生まれのミレラ・セザは、数々の賞を受賞したエクアドルの歌手であり、「アンディポップ(アンデスポップ)の母」とも呼ばれています。幼い頃から教会での集会や家族・友人の集まりなどで歌を披露し、やがてギターが弾けるようになると、音楽家としてのキャリアを積むために渡米しました。
2006年にデビューアルバム「Mirella Cesa」を発表して以来、ツアーやラジオ放送を通じて世界中のファンを魅了し、エクアドル人シンガーとして広く活躍しています。

 
  1. Gabriela Villalba


首都キト出身のシンガー・女優であり、「Gaby de K」という芸名で知られています。エクアドルのタレント発掘番組で歌の才能を見出されたのがデビューのきっかけであり、その後一時的にキャリアが途絶えるものの、女優業に挑戦。
その個性と歌唱力で一躍エクアドルのスターとなりました。2005年には、再び音楽の世界に飛び込み、初のソロアルバム「Todo Bien」をリリースしました。ソロデビューの翌年には、バンド「Kudai(クダイ)」にボーカルとして参加しています。

  1. Carlota Jaramillo


 

国民的歌手の女王として知られたカラカリ出身のシンガーです。音楽一家の生まれで、早くから歌の美しさに触れていた彼女にとって、仕事として音楽の道に進んだことはとても自然な選択でした。

1938年にエクアドルのキトで開催された作曲コンテストで優勝すると、最初のレコードをリリース。その後はヒット曲を連発し、エクアドルの国宝として数々の称賛を浴びました。1987年に亡くなると、エクアドル全土が彼女の死を悼むとともに、多くの国民が最大の栄誉を持って見送りました。

  1. Julio Jaramillo


 

エクアドルでもっとも著名なアーティストの1人です。1935年にグアヤキルで生まれた彼は、幼い頃から自作のギターで遊び、次第に柔らかく温かみのある歌声で知られるようになっていきました。

10代の頃に友人とトリオを結成すると、ラジオ局での演奏などを通じて実力を磨き、1950年代に入ってからは本格的に音楽家としての地位を確立していきます。1954年にファーストアルバムを発表すると、急速に人気が集まり、彼の名声はエクアドルを離れ、南アメリカ全土に広がっていきました。

素敵なデュエット曲と誰にも真似できない独特の歌声で知られ、キャリアを通じて"A Mi Madre", "El Aguacate", "Tu y Yo "などの印象的な曲を多数生み出しました。42歳という若さで病に倒れ、激動の生涯を閉じた彼の存在は、エクアドルのエンターテイメント界に大きな影響を与え、現在でも偉大な人物の1人として人々に記憶されています。



皆さん、エクアドルへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供: 駐日エクアドル共和国大使館

Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-

MIN-ONミュージック・ジャーニーの一覧はこちら