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2022/09/30 特別インタビュー

クレール・エルジエール氏(歌手) インタビュー

クレール・エルジエール インタビュー
◇歌手
インタビュアー:サエキけんぞう氏(ミュージシャン、作詞家、プロデューサー)


9月25日(日)NHK大阪ホールを皮切りに、全国で公演を行うクレール・エルジエールに日本公演への思い、伝説のシャンソン歌手ジュリエット・グレコへの思いを聴いた。

――クレールさんの歌は、シャンソンの伝統を伝えながらもとても新鮮な響きを持っています。どのような姿勢で歌われているのでしょうか?

クレール:私の大事にしていることは、まず、フランス語の美しさを伝えることですね。セルジュ・ゲンズブール、レオ・フェレ、ジョルジュ・ブラッサンス、そしてジャック・ブレル、といった巨匠達の歌から影響を受けてます。それらは、まず歌詞の内容が豊かで、そして響きがたとえようもなく美しい。また、メロディーも素晴らしい。シャンソンの大きな財産だと考えています。

――でも、それらの曲の多くは、50年以上前に作られてますね。そんな曲をどういう風に再現するのでしょうか?

クレール:確かに今とは全く違う、様々な時代背景から生まれました。当時の問題意識もあったと思います。そうしたインパクトを大事に受け止めています。その当時のような衝撃を、今の時代、2020年代に蘇らせたい、と思っています。

――クレールさんのサウンドは、とてもオーガニックで奇をてらったものではありませんね。そこが良いと思います。


クレール:ありがとう。私のサウンドは、確かにエレクトロニックではなかったり、いわゆる現代風なものではありません。しかしミュージシャン達とは、歌詞を大事にしながら、あれこれと演奏の仕方を考えることによって、発表された当時のような新鮮さを持って生き生きと受け止められると考えています。

――昔の歌手との違いは、バンドのメンバーであるミュージシャンと密に音楽を作られていることかもしれません。

クレール:私はすべてのミュージシャンと、注意深く、双方向にコミュニケーションを取って作っています。それが私たちのオリジナリティを生むのです。そうした作業を通して、私たちは、若い聴衆を含んだすべての年代の聴衆に歌を届けたいと考えています。実際に、若者からも沢山の良い反応を頂いており、想いが届いていると実感しています。

 

――大きな影響を受けられたジュリエット・グレコさんの曲からは強い手応えを感じます。

クレール:今回のアルバムは『ジュリエット・グレコの人生を散策、そぞろ歩きしたいな』と思って作った面もあるんです。彼女がステージに立っていた姿や、愛、喜び、優しさをどのように歌っていたか?彼女のさまざまな側面を表現したかった。今回のアルバムタイトル曲「グレコ、あなたを忘れない」をオリジナルで作ることは、私たちにとってとても重要な仕事でした。

――グレコさんにはどのようなシンパシーを感じるのですか?


クレール:私の両親はパリのサンジェルマン・デ・プレで生まれました。そこはご存知の通り、かつて沢山の作家、画家、文化人が交流をしていた特別な場所です。グレコもそこにいました。私はサンジェルマン・デ・プレで小さい頃を過ごしました。様々な思い出が蘇ります。そこにグレコの歌とのつながりも見出しました。
実は、サンジェルマン・デ・プレ前の広場は今『ジュリエット・グレコ広場』という名前になっているんですよ。亡くなって一年でそういうことになりました。普通は何年もかかるものですが、グレコは別格なんですね。あっという間のできごとでした。

――グレコさん本人との交流もおありになりますね。

クレール:1999年に南フランスのフェスティバルに参加した時に、2000人の前で歌いました。そこにグレコが参加していたんです。私は彼女の前で歌いました。そして彼女は私を「とても正しく歌えている」と誉めてくださったんです。歌のキャリアを続ける自信と、パフォーマンスを発展させるエネルギーが生まれてきたんです。

――日本や民音のコンサートでの思い出はありますか?

クレール:日本のお客様は、素晴らしい印象しかありません。いつも温かく歓迎してくれます。ホールのサウンドも素晴らしかったです。公演が終わった沼津で『昨日のライブ素敵でした』と声をかけられた時は、1万キロを越えてやってきて本当に良かったと、感激しました。とても辛抱強くCDのサインの列を作ってくれることにも感動しています。皆、非常に気配りがあります。パリの歌、フランスの曲にとても興味を持ち、気に入っていることがわかっているので、誠実に演奏しなくては、という気持ちになります。

――日本公演の意気込みをお願いします。

クレール:今回は、日本全国で14回のコンサートで日本中を旅するので、とてもエキサイティングなツアーになると思います。休みの日に、街や通りを歩き、美味しい日本料理を味わったり、日本の伝統と文化を発見したいとも思います。ミュージシャン達も凄く楽しみにしております。エネルギーを爆発させますので、どうか私達の音楽を楽しみにしていて下さい。

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