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2022/06/16 ミュージックジャーニー

MIN-ONミュージック・ジャーニー~ナイジェリア編~

皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、アフリカ西部に位置するナイジェリア連邦共和国へ、駐日ナイジェリア連邦共和国大使館の皆様とともにご案内いたします。

ナイジェリアは広大な国土に約2億人の人口(世界第7位)を擁する大国であり、10年近くにわたり、アフリカでもっとも高いGDPを記録し続ける経済の中心地でもあります。そのスケールの大きさから「アフリカの巨人」と呼ばれ、西アフリカでも特に強い存在感を放つ国として注目されています。

ナイジェリアの旅のしおり

・芸術の街「ラゴス」でナイジェリアの音楽とアートに触れよう

・多様な民族文化と伝統衣装について学ぼう

・2つの世界遺産を観に行こう

・ナイジェリアの名物料理を味わおう

 

 

首都アブジャと商都ラゴス

ナイジェリアには36の州と1つの準州があり、それぞれの州に州都と州政府があります。ここでは、2つの代表的な都市を巡りましょう。

近代的な都市計画が行き届いたアブジャ

アブジャは、1991年に移転が行われた比較的に新しい首都です。それまでの首都は南部のラゴスにあり、政治的に重要な役割を持つエリアが一部地域に偏ってしまうことに懸念の声があがっていました。

そこで、新たな首都として選定されたのが、国土のほぼ中央に位置するアブジャでした。アブジャは日本人の建築家丹下健三氏(1913〜2005)によって、計画的かつ効率的な都市設計が行われ、整備された道路と近代的な建物によって快適な生活環境が実現されています。





世界中で活躍する「スーパーイーグルス」

スーパーイーグルスとは、ナイジェリアのサッカーナショナルチームの愛称です。首都アブジャには、ナイジェリア代表の本拠地である国立競技場があります。アフリカ屈指のサッカー強豪国として知られるナイジェリアは、アトランタ五輪での金メダルや北京五輪での銀メダルをはじめ、国際大会で目覚ましい活躍を果たしています。身体能力の高さを特徴とするプレイヤーが多く、世界各国のリーグで活躍する選手が多数輩出されています。




IT業界と文化の中心地ラゴス

旧首都のラゴスはナイジェリア最大の商業都市であり、経済の中心地です。特にラゴスのヤバ地区は、州政府によって27kmにも及ぶ光ファイバーが敷かれるなど優れた通信環境が整備され、「ヤバコンバレー」と呼ばれるIT 業界の中心地になっています。

また、ラゴスはアフリカのニューヨークと呼ばれており、アートや文化の中心地としての側面も持っています。アフリカ音楽のスーパースターが出演するライブハウス「ニューアフリカシュライン」や、最先端のアート作品が見られる「ニケ・アートギャラリー」など、芸術的な感性を育む豊かな土壌が存在しているのです。

ラゴスを代表する文化と言えば、映画があげられます。ナイジェリアでは、ラゴスを中心に年間2,000本以上とも言われる膨大な数の映画が制作されており、アメリカのハリウッド、インドのボリウッドと並んで「ノリウッド映画」としてアフリカ各国を中心に親しまれています。





ナイジェリアの民族と2つの世界遺産

膨大な人口を擁するナイジェリアには、推定250以上とされる民族が暮らしています。なかでもハウサ族、イボ族、ヨルバ族は3大民族と言われており、それぞれ異なる文化・習慣を持っています。




代表的な3大民族の暮らし

ナイジェリア北部の乾燥地帯に暮らすハウサ族は、トウモロコシやミレットなどの穀物やクスクスを主食とする砂漠の民です。古くから交易に携わってきた商人や遊牧民を中心とする民族で、人口はナイジェリアでもっとも多く、ニジェールやコードジボワールといった周辺諸国にも広く居住しています。

南東部の熱帯森林地帯に暮らすイボ族は、アフリカでも特に進取の気性と活力に満ち、教育水準が高い民族として知られています。農民や商人が多く、狩猟や漁業なども活発に行われており、毎年の収穫を祝って開催される仮面舞踏会が有名です。

南西部に暮らすヨルバ族は、ナイジェリアのさまざまな都市の基盤を築いてきた古い歴史を持つ民族です。ナイジェリア出身のアーティスト、ラオル・センバンジョは、ヨルバ神話をモチーフにしたデザインがインスタグラムで一躍有名になり、世界的なブランドに起用されるなどの幅広い活躍を果たしています。

ナイジェリアの世界遺産

ナイジェリアには2つの世界遺産があり、いずれも民族固有の暮らしや習慣に深く紐づいています。

東部のカメルーンとの国境付近に位置する「スクルの文化的景観」は、製鉄業を生業とする小部族スクルによって形成された集落です。前期鉄器時代、および17世紀から20世紀初頭までに築かれた生活様式や製鉄所の遺構は、貴重な歴史を示すものとされ1999年に世界遺産へ登録されています。



南西部のオシュン州には、もう1つの世界遺産「オシュン=オショグボの聖なる木立」があります。ここはヨルバ人にとって宗教上の重要な意味を持つ原生林であり、豊かな生態系を育む自然と、一体化した建造物などの文化的価値が評価され、2005年に世界遺産に登録されました。

ナイジェリアの民族楽器と音楽

ナイジェリアには民族固有のさまざまな楽器があります。ここでは、民音音楽博物館に所蔵されている楽器を写真とともにご紹介します。





  1. アウルン:木製のスリットドラム。横にしたり縦にしたりしてスティックで打つ楽器
  2. エコモ:木製の胴に皮を張った片面太鼓。くさびを用いて皮締めをし、演奏
  3. ガラガラ(ラットル):板内部の6ヶ所の穴に木の実等を入れ、振って演奏
  4. ケリケリ:ヨルバ族のドラム・オーケストラに用いられる楽器
  5. ゴゲ:ハウサ族の音楽で使用される一弦の擦弦楽器
  6. 角笛:水牛の角を用いたホルン
  7. ドゥンドゥン:トーキングドラムの一種。ロープのテンションを変化させ、音程に高低をつけて演奏

 



また、民音では、1992年にナイジェリア国立舞踊団を招聘し、日本全国で公演を開催しました。1989年に創設された同舞踊団は、国内外での公演を通して、ナイジェリアの豊かな芸術文化の発展・継承に寄与しています。今回は、本公演より3曲をお楽しみください。

 

1.クワ ヒーの仮面舞踊


ベヌエ州のティブ族の間で広く演じられている踊りです。

 

2.ゴングと笛


イモ州の楽器「ゴング」と4~5種類の笛によるアクロバットな踊りと演奏です。

 

3.ハッピー・ダンス


アフリカの自由な風土を存分に味わえる国立舞踊団のオリジナル・ダンスです。

 

ナイジェリアの食文化

ナイジェリアは内陸の北部と海に面した南部で気候が異なり、食文化にも違いが見られます。たとえば、遊牧民が多いハウサ族が暮らす北部では、香辛料をたっぷりと使って直火で焼き上げる肉の串焼き「スーヤ」が名物料理とされています。

お米は北部と南部の両方でよく食され、ご飯をトマトやタマネギ、コショウ、各種のスパイスで炊き込んだ「ジョロライス」は、ナイジェリア全土でもっとも人気のある料理の1つです。



また、同じく全土で人気のある料理に、「アファングスープ」と呼ばれる野菜スープがあります。スライスされたアファングの葉を使うことが名称の由来であり、肉やシーフードなども使われる栄養価の高い料理です。スープには、ご飯を使ったやわらかくて粘り気のある濃厚な「プリントゥウォンシンカファ」が添えられます。



ナイジェリアでは海水魚だけでなく、淡水魚もよく食べられています。特に養殖のナマズはほとんどの地域で食べられており、紙幣にも描かれるほど身近な食べ物となっています。
北部のアルグング村で開かれる「アルグング・フィッシング・フェスティバル」は、年に1度開催される魚とり競技の大会で、ナイジェリアでもっとも注目される観光イベントの1つです。



大使館推薦の音楽家

旅の最後に、駐日ナイジェリア連邦共和国大使館が推薦する3組の音楽家をご紹介します。
はじめに、ハウサ族のミュージシャン、アリ・ジタの歌をお楽しみください。彼の楽曲は、カニーウッドとして知られるハウサ語映画にも起用されています。

1. 「Love」



つづいて、半世紀以上にわたり、ハウサ族の間でグリオ(部族の歴史を口頭で伝承する語り部)として活躍したマムマン・シャタの演奏をお聴きください。

2. 「Sida」



最後に、英語やイボ語、フランス語など7ヶ国語で歌う女性シンガー、イェミ・アラデをご紹介します。彼女はその表現の多彩さと影響力の大きさから「ママ・アフリカ」と称賛され、アフリカやヨーロッパの音楽シーンで数々の賞を受賞しています。

YouTubeの再生回数1億4500万回以上を誇るアルデの代表曲、「Johnny」をお聴きください。
 

3.「Johnny」



今回は、ミュージック・ジャーニー編集部からも、おすすめの1曲をご紹介します。ラゴス出身のアーティスト・ウィズキッドは、ナイジェリアから世界へと羽ばたいていった新進気鋭の音楽家の一人です。

独特の甘い歌声とどこか哀愁を感じさせるメロディ、それを支える洗練されたリズムトラックと、3つの魅力がマッチした楽曲「Joro」をお聴きください。

4.「Joro」





皆さん、ナイジェリアへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供:駐日ナイジェリア連邦共和国大使館

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