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2022/01/27 ミュージックジャーニー

MIN-ONミュージック・ジャーニー~ベネズエラ編~

カナイマ国立公園の壮大なテーブルマウンテン

 

皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、南アメリカ大陸の北端に位置するベネズエラ・ボリバル共和国へ、駐日ベネズエラ・ボリバル共和国大使館の皆様とともにご案内いたします。

目次

1.世界最後の秘境 カナイマ国立公園

2.近代建築が並ぶ街 首都カラカス

3.世界最大の音楽教室 「エル・システマ」

4.ベネズエラの豊かな音楽文化


ベネズエラは、日本の約2.4倍もの広さを持つ国土に、多種多様な自然環境が広がる熱帯気候の国です。カリブ海沿岸に位置する近代的な首都部、広大な平野が広がる平原部、高地が続くアンデス地方、サバンナや熱帯雨林が見られるグアヤナ地方など、とてもバリエーション豊かな地理的特徴を持っています。

世界最後の秘境 カナイマ国立公園

ベネズエラの魅力を語るうえで欠かせないのが、雄大で特色豊かな自然です。なかでも、1994年にユネスコ自然遺産にも登録された「カナイマ国立公園」は、世界的に有名な自然の宝庫であり、未開拓の地が多く残ることから、“世界最後の秘境”と呼ばれています。



総面積約30,000平方Km(四国の約1.6倍)のエリア内には、ユニークな生態系を持つ動植物とともに、数々の名所が点在しています。たとえば、「テーブルマウンテン」と呼ばれる70箇所以上の台地は、地球上でもっとも古い時代の地層から形成され、17億年以上にもわたる侵食作用によって切り分けたケーキのように垂直に切り立つ姿が特徴的です。



また、「アウヤン・テプイ」と呼ばれる標高2,560mのテーブルマウンテンには、世界一の落差979mを誇る滝「エンジェルフォール」があります。ここではあまりの高度から水が落下するため、途中で霧になってしまい、滝壺ができないことで有名です。



近代建築が並ぶ街 首都カラカス

首都カラカスは、19世紀前半に南米の5ヶ国を植民地支配から解放したラテンアメリカの英雄「シモン・ボリバル」の生誕地です。団結・正義・自由・平等・民主主義を原則とした姿勢や人となりは、長く国民の気質となってきました。



カラカスには、近代的な建築物が立ち並ぶ大学都市としての顔もあります。機能美と調和を追求したベネズエラ中央大学の建築群は、モダニズム建築の卓越した例として2000年にユネスコ文化遺産に登録されました。



さて、広大な国土を持つベネズエラでは、地域ごとに多様な音楽が生み出されてきましたが、首都カラカスでは20世紀前半まで、都市部の音楽を代表する「カラカスのメレンゲ」が流行しました。メレンゲはカリブ海の各地で広がったダンス音楽ですが、ベネズエラ流は「5/8拍子」という世界でも珍しいリズムを持つのが特徴です。



ここで、2005年に民音が招聘した「チェオ・ウルタード・アンサンブルwithピリ・エルナンデス」の演奏で、カラカスのメレンゲの代表曲「エル・マンゲーロ」をお聴きください。



世界最大の音楽教室 「エル・システマ」

エル・システマとは、1975年にベネズエラで設立された音楽教育プログラムの運営組織です。主な活動内容としては、あらゆる子どもたちに無償で楽器を提供し、無料で音楽レッスンを行う機会を与えるといった取り組みが挙げられます。

エル・システマの大きな特徴は、音楽を体系的に習うだけでなく、早くから合奏による集団行動や他者との関わりを学べる点にあります。青少年を非行や犯罪から遠ざけ、自立した人間として成長させる理念とプログラムは「ベネズエラの音楽の奇跡」と評され、日本を含め世界各国で導入されるなどの大きな影響をもたらしています。





2022年現在、エル・システマ出身の音楽家には、世界の第一線で活躍するアーティストも数多くいます。
民音が2019年に迎えた天才コントラバス奏者エディクソン・ルイースもその1人であり、ベルリン・フィルに史上最年少で入団した才能と実績の持ち主です。




ベネズエラの豊かな音楽文化

ベネズエラの伝統的な音楽の1つに「ホローポ」と呼ばれるジャンルがあります。先ほどご紹介したメレンゲが都市部で流行した音楽なら、こちらは農村部で広がったダンス音楽です。

ホローポの特徴は、「3拍子&2拍子」という異なる拍子が織りなすリズムにあります。独自のノリを生み出すリズムパターンは、ベネズエラ音楽全体にも強い影響を与えています。

それでは、「チェオ・ウルタード・アンサンブル」の演奏で、平原地方におけるホローポのメドレーをお聴きください。




また、ベネズエラには「ガイタ」と呼ばれるクリスマス・ソングのジャンルがあります。シーズンになると街のいたるところでガイタが流れ、ダンスイベントでは数万人の群衆がガイタに合わせて踊る…
ベネズエラの人々にとって、ガイタは年末を過ごすうえで欠かせないポピュラー音楽となっています。


しかし、もともとはベネズエラ西北部にあるスリア地方の民謡でした。そんなガイタを全国的に愛される存在として広めたのが、1958年に結成されたバンド「グアコ」です。

ここで、2016年に彼らを招聘した折の演奏から、ガイタの名曲「Los Huecos/穴ぼこ」をお聴きください。


グアコはガイタを演奏するバンドとして結成され、1964年のレコードデビュー以来、50年以上の長きにわたってラテン音楽界の第一線を走り続けてきました。それは、ルーツを大切にしながらも、最先端のアイデアや音色を大胆に取り入れる音楽性が広く愛されたためでもあります。

この特徴が明快に表現されているのが、次にお聴きいただく2010年代のヒット曲「Vivo/僕は生きている」です。



旅の最後に、駐日ベネズエラ・ボリバル共和国大使館セイコウ・イシカワ特命全権大使が推薦するベネズエラの著名な音楽家による楽曲を3曲お楽しみください。


1.「フーガ・コン・パハリージョ」
作曲:アルデマロ・ロメロ
指揮:グスタボ・ドゥダメル
演奏:シモン・ボリバル交響楽団、アレクシス・カルデナス(バイオリン ソリスト)

 

2.「アラグイータ」

作曲:アルデマロ・ロメロ
演奏:トリオ・アルデマロ・ロメロ

 

3.「コーヒーを挽きながら」(コーヒールンバ)

作曲:ウゴ・ブランコ
演奏:アンサンブル・ララ・ソモス




皆さん、ベネズエラへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供:駐日ベネズエラ・ボリバル共和国大使館

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