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2021/03/11 ミュージックジャーニー

MIN-ONミュージック・ジャーニー~スウェーデン編~

民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、スカンジナビア半島の東側を占めるスウェーデンへ、駐日スウェーデン大使館の皆様とともにご案内いたします。

スウェーデンは、立憲君主制の王国で、親しみのある王室は、広く国民に支持されています。早くから福祉国家の形成に力を入れ、1974年には、世界に先駆けて、出産休暇を育児休暇に変更したほか、医療費の負担軽減や6~19歳までの無償教育、高齢者介護サービスの整備など、あらゆる社会保障が充実しています。

また世界的に有名なファッションブランドH&Mや家具量販店IKEA、音楽配信サービスSpotifyなどを生み出したグローバルイノベーション大国でもあります。

“水の都” 首都ストックホルム


首都ストックホルムは、バルト海に面し、海岸沿いの14の小さな島々からなる北欧最大の都市です。水面に浮かぶように見える美しい新旧の街並みは“水の都”“北欧のベニス”とうたわれ、四季折々の景観を楽しむことができます。

ここで、ストックホルム市内を空から撮影した映像をご覧ください。


中世の面影を残す旧市街ガムラスタン地区の中心部には、18世紀に建造されたノーベル博物館があります。アルフレッド・ノーベルは、かつてダイナマイトを発明したスウェーデンを代表する発明家で、彼の遺言に基づき、開発によって得られた資産は「ノーベル賞」創設の資金となりました。1901年より毎年、彼の命日である12月10日に授賞式が行われ、物理学や文学、平和、化学、医学などの各分野において世界で最も貢献した人物、団体に贈られています。現在、式典はストックホルム・コンサートホールにおいて、また祝賀晩餐会は市庁舎で開催されています。この博物館では、ガイドツアーやビデオ、様々な資料を通し、ノーベルの生涯や賞の歴史について詳しく知ることができます。


ノーベル博物館

 

ノーベル賞授賞式



市庁舎

 

1628年8月10日、国家の威信をかけて造られた軍艦ヴァーサ号は、処女航海への直後、ストックホルム港からわずか100mの沖合いで、多くの乗組員とともに沈没するという大惨事に見舞われました。その後、引き揚げに挑戦と失敗が繰り返され、1961年、ようやくその姿を現した巨大な船体は、現在「ヴァーサ号博物館」に展示されています。

ストックホルム市内には、この他にも100カ所を超える博物館や美術館が点在し、「ドロットニングホルム宮殿」や「クリスマスマーケット」、2万以上の大小の島々が散在する「ストックホルム群島アーキペラゴ」「野外博物館スカンセン」「ABBAミュージアム」など、歴史と文化と自然の魅力に満ちあふれています。

博物館にたたずむ巨大軍艦ヴァーサ号

 

ドロットニングホルム宮殿

 


冬の風物詩クリスマスマーケット

 

バルト海に浮かぶ国内最大の島、ゴットランド島に位置する要塞都市ヴィスビーは、かつてはバイキングの拠点として発展しました。島を彩るオレンジ色の屋根の街並みや、中世に建てられた城壁の風景は、スタジオジブリのアニメ映画『魔女の宅急便』(1989)の舞台になったといわれています。

ここで、映画の世界が漂う街の景観を映像でお楽しみください。



美しい運河が流れるヨーテボリ

ヨーテボリは、1961年、当時の国王グスタフ2世アドルフによって建設された港湾都市です。大航海時代には貿易の拠点となり、北海への玄関口として栄えました。この街には、現在、国産車ボルボ・カーズやカメラメーカーのハッセルブラッドなど、大手企業が本社を構え、世界中のビジネスマンが訪れるスウェーデン第2の都市に成長しています。

ヨーテボリの港

 

美しい運河が流れる市街地には、新鮮な魚貝や肉、野菜など、海と大地の恵みが味わえるおしゃれなレストランやカフェが立ち並び、人々で賑わっています。また現代スウェディッシュアートの宝庫と称される「ヨーテボリ美術館」や、2005年にフォーブス誌の“世界の遊園地トップ10”に選ばれた北欧最大の娯楽施設「リセベリ遊園地」が人気を呼んでいます。

冬のリセベリ遊園地

 

北欧の先住民族と大自然

北欧のトナカイ遊牧民サーミは、スカンジナビア半島の最北部、北緯66度33分の北極線より北の北極圏で生活しています。この地域はラップランドと呼ばれ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの4ヶ国に跨っています。彼らは、厚い毛皮のトナカイとともに、何千年もの間、極寒の自然の中で暮らし、その伝統文化を護り続けています。季節が変わるごとにテントを移動させ、太陽や自然の恵みを糧としながら生き抜く姿は「太陽と風の子」と呼ばれています。




ラップランド地方のヨクモックでは、毎年2月第2木曜前後の約1週間、サーミの露店市「ヨクモック・ウィンター・マーケット」が開かれます。400年以上の歴史を持ち、北欧の北極圏では最古といわれるこのマーケットには、400軒を超える店舗が立ち並び、白樺のコブをくり抜いたコップ(コーサ)や錫(すず)糸の刺繍が施されたアクセサリー、トナカイの骨や毛皮を加工した工芸品などが陳列され、サーミの貴重な伝統文化に触れることができます。

ヨクモック・ウィンター・マーケット

 

サーミの伝統工芸品


またこの地方には、神々しいオーロラの見学や、全てが氷で彫刻されたアイスホテルへの宿泊など、大自然が織りなす神秘的な体験を求めて世界中から多くの人々が訪れます。さらにスキーといったウィンタースポーツも数多く楽しめ、アクティブな魅力にもあふれています。

ここで、オーロラの映像をお楽しみください。




氷の芸術アイスホテル

多様なスウェーデンの生活文化

スウェーデンには、「フィーカ」と呼ばれる慣習があります。フィーカとは、スウェーデン語でコーヒーブレイクを意味します。1日に何度か、家族や同僚、友人を交え、コーヒーに甘いお菓子を添えて、会話を楽しみます。特製のアーモンドペーストと甘さを控えたホイップクリームを含んだセムラ(クリームパン)や、シナモンパン、ワッフルなどは、フィーカの席に並ぶ定番のスイーツです。

どんなに忙しくても、一息入れて心と身体をリフレッシュする、職場や家庭においても立場を超えてコミュニケーションを図るなど、フィーカは、単なる休憩ではなく、より充実した生活を送るために、先人の知恵が生んだスウェーデン国民には、なくてはならない癒しの文化といえます。




またスウェーデンの人々は、およそ自宅や別宅に果樹園や菜園を構えています。厳しい気候環境の中で、食物の長期保存が必要とされたスウェーデンでは、新鮮な果物はジャムに、野菜は酢漬け、肉や魚は燻製にするなどの工夫が凝らされます。

サーモンの燻製料理とジャム

 

スウェーデンでは、古くからザリガニを食用として好み、調理されています。毎年、漁の解禁となる8月には、街の至るところに人が集まり、大皿に盛られたザリガニを食べる「ザリガニ・パーティー」が開かれ、夏の風物詩となっています。

ザリガニ料理

 

スウェーデンの音楽文化

民音では、「スウェーデン王立男声合唱団」(1984年)や「広上淳一指揮/ノールショピング交響楽団」(1994年)、「バーバラ・ヘンドリックス」(2006年)をはじめ、様々な音楽家をスウェーデンより招聘し、公演を開催してきました。

「スウェーデン王立男声合唱団」(1984年)




今回は、スウェーデンが誇るアカペラ合唱団「スヴァンホルム・シンガーズ」公演(2013年)、スタンダード・ジャズを得意とするソプラノシンガー マルガリータ・ベンクトソン氏らの「アロージャズ with マルガリータ・ベンクトソン」公演(2016年)、 弦楽合奏団「ムシカ・ヴィーテ」とコーラスアンサンブル「ヴォカールハルモニー」で構成された「スウェーデン・ハーモニー」公演(2018年)より、3曲をお楽しみください。

1.「レット・イット・スノウ」 スヴァンホルム・シンガーズ




<スヴァンホルム・シンガーズ>
1998年にスウェーデンで結成されたアカペラ男性合唱団。1999年、日本で開催された「宝塚国際合唱コンクール」でグランプリを受賞し、日本での公演も度々開催してきた。力強さと繊細な美しさと北欧の白夜を思わせる神秘的なハーモニーが特徴の国を代表する合唱団。

 

2.「リーヴィンング・ロンドン・シーイング・ストックホルム」 マルガリータ・ベンクトソン


<マルガリータ・ベンクトソン>
5人組のボーカルアンサンブル「ザ・リアル・グループ」のリードシンガーとして20年以上活躍した後に、2006年にソロシンガーとして独立し活動を開始。初めてリリースしたソロ・アルバム「アイム・オールド・ファッションド」は北欧のみならず日本でも大ヒットをおさめた。

 

3.「ABBAメドレー」 ムシカ・ヴィーテ&ヴォカールハルモニー


<ムシカ・ヴィーテ>
「“人生を表現した音楽”を生演奏でお届けしたい」との思いで活動を行う弦楽合奏団。国内での公演に留まらず、中国、アメリカ、ギリシャ、スイス、ドイツ、スペインなどの海外公演も行い、その活動は、インターネットや新聞などのメディアにて頻繁に取り上げられている。

<ヴォカールハルモニー>
2004年、新しい音と声楽テクニックを探求することを目的に設立されたコーラスアンサンブル。設立当初から芸術監督を務めるフレドリック・マルンベルグは、2012年からスウェーデンで最も権威のある合唱団「エリック・エリクソン室内合唱団」の主任指揮者と「ストックホルム・ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージック」の合唱指揮者にも任命されており、高い評価を得ている。

 
最後に、駐日スウェーデン大使館ペールエリック・ヘーグべリ特命全権大使に音楽家を紹介いただきたいと思います。


「おそらく、まだあまり知られていないかもしれませんが、スウェーデンは音楽業界において、世界に大きな影響を及ぼしています。特にポップやロック・ミュージックに関しては、測定された私たちの国のGDP 、1000万人の経済規模を考えると、この分野で最も成功した世界の国のひとつと言えるでしょう。

また、スウェーデンは、クラシックやジャズ、合唱のジャンルにおいても、大きな影響を持っています。多くの音楽家が、日本でもよく知られ、高い評価をえております。

私は、できるだけ早くコロナが収束し、スウェーデンのアーティストを再び日本に迎え、公演を開催できる日を、心待ちにしております。今回は、素晴らしいスウェーデンの音楽家の中から3組を皆様にご紹介できることを光栄に思います。どうぞ、お楽しみください。」




1.
エリック・ヴェストベリ・ボーカルアンサンブル

スウェーデンの合唱は、その軽いトーナリティとノン・ビブラートで世界的に認識されています。スウェーデン合唱の作曲家たちは、たびたびこの象徴的な柔らかい音を大事にしています。

スウェーデンの偉大な現代作曲家の1人、スヴェン=ダーヴィド・サンドストレムは、数年前、“4つの愛の歌”という素晴らしい合唱曲を書きました。今回は、優れたスウェーデンの合唱団「エリック・ヴェストベリ・ボーカルアンサンブル」の華麗な歌声をSpotifyでお楽しみ頂きたいと思います。

こちらからご視聴いただけます。

2.ラーシュ・ヤンソン
次に紹介するジャズピアニストのラーシュ・ヤンソンは、すでに多くの日本のジャズファンに知られています。彼は、音律の魔術師であり、彼の脳や指からは、シンプルで自然な音律を生み出す、無限の源泉をもつ数少ない作曲家の一人です。

私のお気に入りの曲の1つ“モア・ヒューマン(More Human)”も彼は演奏しており、このレコードは、Spotifyでも配信されていますし、スウェーデン・ジャズを中心とした音楽を扱う日本のレコード会社Spice of Lifeによって普及されています。

こちらからご視聴いただけます。


3.ソフィア・ヤノック

ソフィア・ヤノックは、スウェーデン/サーミ人のアーティスト、シンガーソングライターです。彼女の音楽は、フォークソングやポップ、ジャズ、そしてスウェーデン最北部に住むサーミの伝統音楽にインスピレーションを受けています。私は、彼女が“ヨイク”と呼ばれる伝統的なサーミの歌唱法をしているこの曲が大変好きです。

こちらからご視聴いただけます。

皆様の中には、Spotifyがスウェーデンの会社であることを知らなかった方がいるかもしれません。Spotifyの優れたイノベーションとストリーミング技術により、すべての音楽ジャンル、作曲家、アーティストの曲が、日本やスウェーデン、また地球上のどこにいても聴けるようになりました。


皆さん、スウェーデンへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供:駐日スウェーデン大使館、Image Bank Sweden

Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-

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