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2021/03/04 ミュージックジャーニー

MIN-ONミュージック・ジャーニー~オーストリア編~

ウィーンの景観


皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、中央ヨーロッパの南部に位置するオーストリアへ、オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京の皆様とともにご案内いたします。

オーストリアは、国土の約3分の2をアルプス山脈におおわれ、約半分を緑豊かな森林が占めています。また四方を8カ国(ドイツ、スイス、イタリア、チェコ、スロバキア、ハンガリー、リヒテンシュタイン、スロヴェニア)に囲まれ、隣接する国内9つの州は、それぞれ多様な生活文化の影響を受け、地方色に彩られています。

 

音楽の都・首都ウィーン

18世紀、ハプスブルク帝国の首都であったウィーンでは、皇帝はもとより、宮廷の王侯貴族から市民まで、階層を超えた幅広い人々がコンサートやオペラに親しみ、街は格調高い音楽に満ちあふれていました。やがてウィーンは「音楽の都」へと発展し、音楽家を志す多くの若者の憧憬の的となっていきます。そして後世に名を残す数多の作曲家がここで才能を開花させ、音楽史に刻まれる数々の名曲が誕生していきます。

 

1865年に開通した「リング通り」は、旧市街を囲む全長約5㎞の環状道路で、通り沿いには、数々の王宮や劇場、教会、大学、博物館、市庁舎、国会議事堂など歴史的建築物が建ち並び、ベルヴェデーレ宮殿を含むこの地域一帯が「ウィーン歴史地区」として世界文化遺産に登録されています。


ベルヴェデーレ宮殿


旧市街の中央に、ひときわ高くそびえるシュテファン大聖堂は、モーツァルトの結婚式が行われた教会で、ウィーンの歴史を今に伝えています。地上から先端まで136.7メートルある「南塔」は、着工から65年の歳月を費やして1359年に完成され、世界の教会で3番目の高さを誇っています。



ドイツ南部シュヴァルツヴァルトを源とし、黒海へと注ぐ全長約2,860㎞のドナウ川。途中メルクからクレムスまで、約35㎞の一帯は、2000年、「ヴァッハウ渓谷の文化的景観」の名称で世界文化遺産に登録されました。河岸に建つメルク修道院やアックシュタイン城、両岸に広がるぶどう畑など、ドナウ川クルーズの最も風光明媚な場所として注目を集めています。


ここで、青々とした自然の中を悠々と流れるドナウ川の景観を眺めながら、2004年に民音が招聘した「ウィーン・シュトラウス・カペレ」による「美しく青きドナウ」をお聴きください。

「美しく青きドナウ」

<ウィーン・シュトラウス・カペレ>
1827年、ヨハン・シュトラウスI世とその一族によって結成された楽団。伝統色豊かで、結成当時は世界中で最も著名なオーケストラの一つとされていました。1901年の解散後、76年の時を経てウィーン国立歌劇場管弦楽団とウィーン・フォルクスオーパー交響楽団の楽員たちが、原初の形態で復活させ、今に至っています。トレードマークである紅白の衣装は、オーケストラが活躍した皇帝フランツ・ヨーゼフI世の宮廷時代に端を発しています。

民音音楽博物館には、ウィーンで誕生した数々の古典ピアノが所蔵されており、今でもその音色を楽しむことができます。



ヨーロッパ有数の文化都市グラーツ

オーストリア第2の都市グラーツは、シュタイヤーマルク州の州都で、「オーストリア南部の美」と称されています。市街地には400年以上の歴史を誇るグラーツ大学や著名なグラーツ国立音楽大学が設置されているほか、国際見本市や国際会議が開かれるなど、ヨーロッパ有数の文化都市、また美食の街として、多くの観光客が訪れます。赤く美しい屋根瓦の家並みが広がる旧市街は、中央ヨーロッパの中で、その維持、また保存状態においても優位性が認められ、1999年、「グラーツ歴史地区」として世界文化遺産に登録されました。さらに2010年には、郊外のエッゲンベルク城が追加登録されました。


旧市街の市庁舎広場では、毎年「グラーツの長い食卓」と呼ばれるイベントが開催されます。参加者にはプレミアム・ワインや豪華料理が振る舞われ、この街を訪れる美食家たちからは「美食の首都」とうたわれています。



ここで、2020年1月、民音レクチャーコンサートに出演した「グラーツ少年少女合唱団」の歌声をお聴きください。

1. オーストリアの伝統音楽・舞踊「ローワースティリアン・ランドラー」

2. 「ダンシング・クイーン」


<グラーツ少年少女合唱団>
オーストリアでもっとも伝統あるリーベナウ大学に、声楽教育を提供するために設立された合唱アカデミー。国際合唱コンクールでも多くの優勝経験がある。2018年には「ワールド・クワイア・ゲームWorld Choir Games」において世界の並みいる強豪を制してダブル金賞に輝いた。


[指揮] マリア・フュルントラット
芸術監督。合唱音楽の教育者としても多くの実績があり、教育学賞をはじめ多数の受賞歴があり、コンクールの審査員も務める。


ザルツブルクの旧市街とザルツァッハ川の眺め

神童モーツァルトを生んだザルツブルク

モーツァルト生誕の地としても知られるザルツブルク。その生家は記念博物館として、彼の愛用したヴァイオリンや自筆譜などが展示され、人気の観光スポットとなっています。

夏の風物詩として盛大に開催される「ザルツブルク音楽祭」は、今や世界からも注目される音楽フェスティバルに発展しています。“街全体が舞台になる”と称され、毎年、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団をはじめ、名だたるオペラやオーケストラ、演奏家たちが集い、2020年には100周年を迎えました。

モーツァルトの生家 

 

毎年クリスマスに流れる聖歌「きよしこの夜」は、1818年12月24日、市の北部オーベルンドルフ村の教会で誕生しました。教会の跡地には「きよしこの夜礼拝堂」が建てられ、多くの観光客が訪れています。現在、この聖歌は300の言語に翻訳され、世界中の人々に愛唱されています。

きよしこの夜礼拝堂

「きよしこの夜」の楽譜

 

圧倒的な景観ザルツカンマーグート地方

ザルツブルクの東に位置する湖水地方一帯は、ザルツカンマーグートと呼ばれ、アルプス山脈に囲まれた美しい自然はもとより、古来より希少価値のあった塩(ザルツ)の採取が盛んで、王侯貴族は、ここを御料地(カンマーグート)として直轄していました。また付近にたたずむ湖畔の街ハルシュタットと、その背景にそびえる標高2,995mのダッハシュタイン山塊は、その壮観さから「ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」として、1997年、世界文化遺産に登録されました。



世界的なジュエリーブランド「スワロフスキー」

今や世界的なジュエリーブランドとして知られるスワロフスキー。創業者であるダニエル・スワロフスキーは、クリスタルガラスを“誰もが手にできるダイヤモンド”に、との理想を掲げ、精密にガラスをカットする技術を考案し、1895年、オーストリアのチロル州にスワロフスキー社を設立しました。1995年には、創業100周年を記念して州都インスブルックに、このブランドの魅力を伝える「スワロフスキー・クリスタルワールド」をオープン。これまでに世界中から1,200万人以上の人々が訪れ、チロルの名所となっています。


スワロフスキー・クリスタルワールド

 

クラシックをはじめコンテンポラリーまで高い水準の音楽

民音が、これまでオーストリアから招聘した数あるアーティストの中から、いくつか曲目をご紹介します。はじめに、2004年に開催された「ウィーン・シュトラウス・カペレ」のステージより、「熱狂的なギャロップ」をお楽しみください。ギャロップは、全速力で走る馬のリズムを真似て、スキップするように踊るためのダンス・ミュージックです。



続いて、2018年にオーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京と民音で開催した「ゴルナー&マハーン LIVE2018」のステージより、「りんご追分~NHK『おしん』のテーマソング」をお楽しみください。


<ゴルナー&マハーン>

ゴルナー・シャヒール、マハーン・ミララブは共にイラン出身、現在はオーストリア・ウィーンに在住。 2011年より「ゴルナー&マハーン」として活動を始め、“音楽の都“ウィーンでもすでに高い評価を得ている。パーカッションのアミール・ワーバを加え、多様性豊かなワールド・ミュージック・トリオとして活躍している。

 

最後に、オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京が推薦する5組の音楽家の演奏をお楽しみください。

ここに紹介するグループはすべて、NASOM2020/2021に選ばれています。

The New Austrian Sound of Music、略してNASOMは、オーストリア外務省による長期育成プログラムで、オーストリアの、あるいはオーストリアを拠点に活動する若手の音楽家やバンドを国外にアピールするためのものです。

NASOMの目的は、大使館や文化フォーラムのネットワークを通じて、将来有望な若き才能の国外での演奏活動を2年間支援することです。さらに、オーストリアの音楽が、伝統を越えて、現代にも多様に息づいていることを知ってもらうことを目標としています。

 

1.「ムーヴ・オン」/アット・パビロン
2010年に結成。典型的なロックを超えて、70〜80年代の名作映画にインスピレーションを得て、独自のスタイルを見出した。ディスコのダンスフロアから飛び出してきたようなファンキーなアレンジ満載のアップビートの曲には、自由や寛容、協調という深いメッセージが込められている。
こちらからご視聴いただけます。



2.「ロンドン」/パープル・イズ・ザ・カラー
エレガントなサウンドを奏でるジャズ・バンド。古典の領域にとどまらず、積極的に新しいスタイルを取り入れ、既成の枠を超えても、格調高い輝きを生み出せる音楽領域を目指している。ピアノ、サックス、ベース、ドラムから編み出されるリズムは、聴衆の心に触れ、奥深い感情が引き出される。
こちらからご視聴いただけます。



3.「ジャンゴス・モンキー」/トリビダボ
曲を聴けばすぐに、シュタイヤーマルク出身のこの若い3人にとっては、音楽ジャンルの境界線や制限が無意味であることに気づく。サックス、カホン、アコーディオン、ギターが織り成すメロディは、自由で、様々なスタイルで表現されている。彼らの作品の中で、東欧系ユダヤの音楽とクラシック、ロマ音楽とタンゴ、バルカンの力強いサウンドとフランスのワルツなどが出会う。
こちらからご視聴いただけます。



4.「マキーナ」/プネウマ
メンバー4人は、さまざまな音楽プロジェクトに携わっているが、特に現代音楽と即興音楽に焦点を当てている。バロック、フリージャズ、ノイズ、アカペラなどの音楽にルーツを持ち、各ジャンルから受けた影響は、彼らが特別に作曲した作品の中で溶け合っている。
こちらからご視聴いただけます。



5.「ハイドン:弦楽四重奏曲 Op. 77, Nos. 1- 2」/セリニ・カルテット
楽友協会、コンツェルトハウス、シューベルトハウス、ブルク劇場など、ウィーンの名だたるホールで演奏を果たした実績のあるアンサンブル。近年では、チェコ共和国でのプラハ・クラリネット・デーや、オーストリアのシュタイヤーマルク室内楽フェスティバル、ギリシャのアイギナ国際音楽祭などの様々な音楽祭にも招待されている。2018年8月には、名誉あるアルティス・カルテット賞を受賞した。
こちらからご視聴いただけます。



アルペンスキーはオーストリア発祥


ハイキングは人気のレジャー 

 

皆さん、オーストリアの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力、写真提供:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京、オーストリア政府観光局

Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-

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