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2020/12/24 ミュージックジャーニー

MIN-ONミュージック・ジャーニー~ロシア編~

民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回はユーラシア大陸の北部、東の太平洋から西のバルト海沿岸まで、世界最大の国土を持つ大国ロシアへ、ロシア連邦大使館の皆様とともにご案内いたします。

ロシアの面積は日本の約45倍。東西に広いため、国内でも最大10時間の時差があります。シベリア北部には、タイガと呼ばれる針葉樹林が生い茂り、その下には一年中凍結している永久凍土が広がっています。

歴史上、ロシア社会の安定を支えてきたのは、国土の9割を占める農村の文化とロシア正教の伝統でした。その中で喜びや悲しみを表現する文化として地域特有の音楽や舞踊が創られ、それがヨーロッパ音楽の伝統と溶け合い、今のロシアを代表する世界的なバレエやオペラへと発展してきました。



モスクワの夜の景観


「歴史」と「未来」が息づく首都モスクワ

首都モスクワは、人口約1,200万人の巨大都市です。市の中心地「赤の広場」周辺には、クレムリン、聖ワシリー寺院、ボリショイ劇場などがあり、いずれも市の誕生から900年という時代の変遷の中で建築されたロシアを象徴する歴史的遺産となっています。街はクレムリンを中心として、放射状に幹線道路が延び、それを幾つもの環状道路が繋いでいます。

「赤の広場」では、毎年夏の終わりに、ロシア国際軍楽祭「スパスカヤ・タワー」が開催され、世界各国の音楽隊や軍楽隊が一堂に会し、迫力あるサウンドを響かせます。これはクレムリンにそびえる“スパスカヤ塔”の名を冠したモスクワの一大イベントで、多くの市民に親しまれています。





市街地には、歴史的建造物に隣接して「モスクワ・シティ」と呼ばれる都市開発地域があります。ここには、ビジネスオフィスをはじめ、レストラン、病院、美術館、娯楽施設、住宅などを備えたモダンな高層ビルが林立し、大規模な商業地区を形成しています。

またナターリヤ・サーツ総裁が、世界で初めて創設した青少年のための音楽劇場「国立モスクワ児童音楽劇場」は、レーニン丘の緑に囲まれた広々とした敷地にあります。


モスクワの高層ビル


世界有数の文化都市 サンクトペテルブルク

フィンランド湾に面するロシア第2の都市サンクトペテルブルクは、かつては帝政ロシアの首都でした。市の中心部や郊外に存在する36のスポットが「サンクトペテルブルグ歴史地区と関連建造物群」として世界遺産に登録され、世界有数の文化都市、学術都市としても知られています。

街中に散りばめられた豪華な建築物は、西欧のバロック様式と新古典主義にロシア文化が融合したもので、壮大で調和の取れた噴水公園とともに、その美しさを誇っています。世界三大美術館の一つにも数えられる「エルミタージュ美術館」や、世界的オペラやバレエが上演される「マリインスキー劇場」、ピョートル大帝が建設した「エカテリーナ宮殿」等々、ここにはロシアの美が結集しています。

また「水の都」と称されるほど、街中には運河が張り巡らされており、その数は100以上にものぼるといわれています。運河から美しい街並みが眺められるボートツアーも人気の観光となっています。




シベリアの首都ノヴォシビルスク

ロシアのおよそ中央に位置する街ノヴォシビルスクは、別名「シベリアの首都」と呼ばれ、モスクワ、サンクトペテルブルクに次ぐロシア第3の都市です。
「ノヴォシビルスク国立オペラ・バレエ劇場」は、街の中心地レーニン広場にあり、モスクワの「ボリショイ劇場」よりも規模が大きく、ロシア最大の劇場ともいわれています。
アルタイ山脈の黄金山地にあるウコク高原は、1998年に世界自然遺産に登録され、ユキヒョウなどの絶滅危惧種が生息し、雄大な自然を楽しむことができます。


ノヴォシビルスク国立オペラ・バレエ劇場


全長約2000キロメートルの大山脈・アルタイ黄金山脈

 

高い人気を誇る民族衣装

古くからその国に伝わり、文化的、歴史的要素を含む民族衣装。世界でも特に人気を集めているのがロシアの民族衣装です。女性用はサラファン、男性用はルパシカと呼ばれ、それぞれに興味深い歴史があります。

サラファンは900年以上も前に織られたといわれ、もともと幅広い階級の女性が着用していましたが、社会的地位や財力のある女性が着ていた高級素材のものだけが受け継がれました。しかし18世紀初頭、ピョートル1世の「服飾令」によってロシアの庶民階級に広まり、現在に至っています。ルパシカは、ウクライナの農民衣装がロシアに伝わったものといわれ、レフ・トルストイが愛用していたことから、トルストイ主義者の象徴にもなりました。また大正時代、東京のパン屋で働くロシア人が着用していたことから、当時の日本でも話題になりました。


ロシアの大文豪トルストイと音楽

ロシアを代表する世界的文豪レフ・トルストイは、執筆や平和活動にとどまらず、音楽をこよなく愛し自ら作曲も手掛けました。同じくロシアを代表する作曲家ピョートル・チャイコフスキーとも交流があったことは良く知られています。

民音では、2018年10月、トルストイ生誕190年を記念して「トルストイと音楽」展を開催しました。12月には、トルストイの玄孫でロシア大統領顧問であるウラジーミル・トルストイ氏と、その夫人で「L.N.トルストイ屋敷博物館“ヤースナヤ・ポリャーナ”」の館長であるエカテリーナ・トルスタヤ女史が民音文化センターを訪問し、文化講演をおこないました。




ソヴィエト国立アカデミー・ノボシビルスクバレエ団(1966年)

 


Min-On Global Music Network(2015年)
モスクワ大学インペリアル・ホールでの公演

 

民音は、「ソヴィエト国立アカデミー・ノボシビルスクバレエ団」(1966年)の招聘を皮切りに、数々のロシアの音楽文化団体を招聘し日本公演を開催、また2015年には、Min-On Global Music Network事業で日本の音楽家をロシアへ派遣するなど、相互交流を重ねてきました。

その中から、「モスクワ児童音楽劇場」(1990年)、「テレム・カルテット」(2019年)の公演映像をご覧ください。

はじめにご覧いただく「モスクワ児童音楽劇場」は、ナターリヤ・サーツ総裁が1965年に創設した世界初の子供のための音楽劇場です。バレエやオペラなど、子供たちに夢と希望を与える優れた芸術作品は、各国で高い評価を得ています。

「モスクワ児童音楽劇場」(1982年)


1.「バレエ『白鳥の湖』より『四羽の白鳥』」



2.「カリンカ」


次にご覧いただく「テレム・カルテット」は、1986年に結成された民族音楽のアンサンブルで、クラシックやポピュラーを母国の伝統音楽と融合させながら、超絶技巧を織り交ぜたステージが人気を呼んでいます。

テレム・カルテット(2019年)


3.「一週間」


4.「黒い瞳」


次に、駐日ロシア大使館よりご紹介を頂きました2組の音楽家の曲をお楽しみ頂きたいと思います。
彼らは、2021年以降に日本公演を予定していますので、ご期待ください。

はじめに、紹介するのは、エフゲニー・ポボシィ。彼は、2019年にロシア人で初めてハービー・ハンコック・インスティテュート主催のコンペティション(ジャズ・ギター)で優勝に輝いた、今注目のジャズ・ギタリストです。

サックス(アントン・チェクロフ)、キーボード(ニコライ・シドレンコ)、ベース(セルゲイ・コルチャギン)、ドラム(アレクサンダー・クルコフ)で構成されたエフゲニー・ポボシィ・クインテットの演奏をお聞きください。

1. Stranger Thoughts - EVGENY POBOZHIY QUINTET
  こちらからご視聴いただけます。

最後にご紹介するのは、女性音楽グループ、M・トレツキー・ソプラノです。
指揮者、プロデューサー、そして人民芸術家として活躍するミハエル・トレツキーによって編成された斬新な女性音楽ユニットです。ロシアの音楽大使を務め、これまで国内だけでなく、アメリカ、カナダ、スイス、イスラエル、中国でのコンサートツアーの他、F1グランプリ、サッカーやアイスホッケーの国際親善試合でロシア国歌を斉唱するなど、重要な役割を担っています。


<M・トレツキー ソプラノ>

2.トルコ行進曲(Turkish March)
  こちらからご視聴いただけます。

3.セプテンバー(SEPTEMBER)
  こちらからご視聴いただけます。


広大なロシアを走る蒸気機関車

 

ロシアには「同じ羽根の鳥は生まれない」ということわざがあります。これは、“人はそれぞれ異なる性質を持っている”ことを意味します。日本のことわざ「十人十色」とも似ています。これまでに紹介してきた広大な土地で受け継がれる多種多様なロシア文化を象徴しているようです。

ロシアの旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。

協力:駐日ロシア連邦大使館


Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-

 

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