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2020/11/05 海外派遣

フランスとのオンライン学校コンサートを開催しました

世界22カ国・地域に日本の伝統音楽を伝えてきた海外派遣事業。本年6月にも、アーティストをフランスに派遣し、公演を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、中止となりました。

現地の関係者と何度も協議を重ねた末、去る10月13日にパリ南郊のソー市ラカナル学校とオンライン学校コンサートを開催することが決定。実際に演奏が披露される日本の現場と、子どもたちのいるフランスの会場に巨大なスクリーンを設置し、互いの様子を映し出すことで実現いたしました。

演したのは、はなわちえさん(津軽三味線)、柴香山さん(尺八)、吉葉景子さん(箏)、福士夏子さん(和太鼓)の女性4人。赤、白、青、黒といった色とりどりの衣装が舞台を飾りました。

曲目の合間には、各楽器の説明が織り交ぜられます。そのためか、演奏中に三味線や和太鼓の手の動きを真似る子どもの姿も見られました。

中でも圧巻だったのは、4人の合奏に合わせて、日本とフランスの両会場で盆踊りを踊る場面。通信速度に起因する手拍子や掛け声のズレが、ちょうどリズムの強拍と弱拍に重なり、心地よい一体感を生み出していました。

最後は、生徒たちのリクエストに応えて、海外でも人気を集めるアニメ『鬼滅の刃』の主題歌「紅蓮華」を演奏。日本の伝統楽器と最新のヒット曲の意外な融合に、しばらく歓声はやみませんでした。

参加者からは、「いつか尺八を演奏してみたいです」「たくさんの人の心を動かせる音楽を通して、世界を平和にできると思いました」「三味線がモダンな楽器で驚きました」といった声が届いています。

情報技術を活用した当協会の学校コンサートは、4人の和楽奏者たちにとっても新鮮な試みとなったようです。

「オンラインで音楽を配信する機会はこれまでにも何度かあったのですが、聴き手の様子が画面をとおして演奏者にも見えるというのは、今回が初めてです。場所は遠く離れているはずなのに、子どもたちをとても近くに感じました」(柴さん)

新型コロナをきっかけに急速に普及しつつある新しいコンサートのかたち。そこに浮かび上がるのは負の側面ばかりではありません。

「オンラインの公演だと、楽器を弾いている人たちの手元を大きく映し出すこともできます。演奏会場の観客席にいるのとはまた違った見え方を楽しんでもらえると思いました」(吉葉さん)

「国外にいる人やご高齢の方など、何らかの事情で現場に足を運べない場合にも、オンラインであれば手軽に視聴していただけます」(福士さん)

物理的な距離を瞬時に乗り越える通信技術の効用を認める一方で、4人の女性たちが口をそろえて明かすのは、「演奏を同じ空間で聴いてほしい」という思いです。

「あたり前のことかもしれませんが、生のコンサートは音楽をその場所で奏でる人がいて初めて成り立ちます。いつまた人前で楽器を弾ける日が来てもいいように、日々トレーニングと研究を続けていく。それが私たち演奏家の使命だと思っています」(はなわさん)

本公演は、当協会の公益事業の一環として、皆様から頂戴いたしました賛助会費によって運営されております。
この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。今後とも、当協会の事業にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。