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THE JAZZ AVENGERS(ザ・ジャズ・アベンジャーズ)

THE JAZZ AVENGERS @ LINE CUBE SHIBUYAコンサート ライブ・レポート

高木信哉(音楽評論家)

日本のジャズの明るい未来を感じさせた極上の喜びと感動のステージ

8月6日、THE JAZZ AVENGERS(以下ジャズアベ)が、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて、初の大ホールコンサートを開催した(民音の初公演でもあります)。ジャズアベは、昨年4月、デビュー・アルバム『THE JAZZ AVENGERS』を発表し、瞬く間に全国へと支持を広げ大人気となった。本年5月には、セカンド・アルバム『8 STEPS』を発表した。

LINE CUBE SHIBUYAには、多くのお客様が駆け付け、開演前から熱気が溢れていた。オープニングは、18時30分。緞帳にジャズアベの映像が出される。次いで、川口千里の力強いドラミングが始まり、幕が開き演奏開始。全員が純白のセットアップ衣装で華やか。

前半は、セカンド・アルバム『8 STEPS』から、3曲演奏した。「J-FUNK(作曲:芹田珠奈)」と「Exploration(作曲:瀬川千鶴)」は、アップテンポのナンバー。強力なリズム隊に乗って、メンバーたちの演奏が全開だ。サックス隊のアンサンブルも完璧。寺地美穂が書いた「Tell Me」は、明るく希望に満ちた曲。サックス隊のハーモニーが美しい。竹田麻里絵のキーボード・ソロ、寺地のアルト・ソロが素晴らしい。次いで、有名曲のカバーを2曲演奏する。大人気のYOASOBIの「アイドル」に場内は大喜び。手拍子が湧く。「Pick Up the Pieces」は、アヴェレージ・ホワイト・バンドが1974年に発表した曲。キャンディー・ダルファーやケニー・Gなど多くのカバーがある。ジャズアベの得意なナンバーでもある。中園亜美、寺地美穂、米澤美玖のサックス3人が、舞台に大きく広がって演奏し盛り上がる。各人のソロ合戦も見事である。1曲演奏する毎に、拍手と声援がどんどん大きくなっていく。1部の最後は、デビュー・アルバムに収録されていた「Funkadelic Muse (作曲:安部潤)」。思わず口ずさんでしまいたくなるようなキャッチーなメロディの曲だ。米澤美玖の熱いテナー・ソロと芹田珠奈のベース・ソロと川口千里のドラム・ソロがカッコ良かった。

 


開始から1時間弱で15分の休憩を挟み2部へ突入。ドラム、ベース、ギター、ピアノのリズム隊のみで始まった「Anony(作曲:川口千里)」。途中からフロントメンバーも加わる。2部は、全員がデニム生地をベースにした衣装にお色直している。メンバーたちのソロに大きな拍手が湧く。2部は、6曲全てが、セカンド・アルバム『8 STEPS』からの演奏となった。「Why not?」は、最新アルバム『On and On』をリリースしたばかりの中園亜美の曲。

竹田麻里絵の生ピアノによる美しいイントロから、中園亜美のソプラノ・サックス~サックス全員のテーマに受け継がれる。竹田麻里絵のリリカルなピアノ・ソロ、中園亜美のソロと続く。次いで、「cradle」(作曲:WaKaNa)では、観客がスマホでライトを照らす中、今まで案内もなく姿を見せなかったアルト・サックス奏者のWaKaNaが登場!本人作曲のこのメロウな曲から登場とは、心憎い演出だ。産休明け間もないので体調などを考慮しての出演なのだろう。ここでジャズアベ8人全員が揃って良かった。揺れるスマホライトに、WaKaNaの熱演が聴けて幸福な気持ちになる。次がアルバムタイトル曲であり前向きな「8 STEPS」(作曲:竹田麻里絵)と素晴らしい流れだ。ここからは、観客との一体感が沸騰する展開となる。

 

「As You Like」(作曲:全員)は、観客参加型となりコーラスとワイパーで盛り上がる。最後の「Sphere」(作曲:全員)では、撮影OKタイムとなり、メンバー紹介もあった。米澤美玖と寺地美穂のソロ・バトル、WaKaNaと中園亜美のソロ・バトルが大いに盛り上がって終了した。大きな拍手が鳴りやまず、アンコールに突入。曲は、ジャズアベを代表する「Unite」(作曲:WaKaNa)で,遂に観客総立ちとなる!ソロ回しで、サックスメンバー4人が交互に、舞台から降りて、1階の観客席に入って吹きまくる。通路で、4人がサックス吹く姿を間近で観られて、お客様は大喜びである。舞台と客席が一体となった瞬間である。こうしてジャズアベ初の大ホール・コンサートは、大盛り上がりで終了した。感動のステージだった。