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MIN-ONミュージック・ジャーニー~カンボジア編~
皆さん、民音ミュージック・ジャーニーへようこそ。
今回は、インドシナ半島に位置するカンボジア王国へ、駐日カンボジア王国大使館の皆様とともにご案内いたします。
編集部の“イチ押し”アーティスト:サン・ソクセライ
今回のイチ押しアーティストは、カンボジアの女性ヒップホップアーティスト「サン・ソクセライ(Sang Sok Serey)」です。彼女はカンボジアの文化とヒップホップを結びつけ、伝統文化と若者との架け橋としての役割を担っています。たとえば、新聞離れをしている若者を引きつけるために主要な英字紙がラップニュースを配信した際には、その音楽を担当しました。
今回の旅はそんな彼女の楽曲『Cambodia』のミュージックビデオとともにスタートしましょう。カンボジアの子どもたちと一緒に歌う様子や、自国の文化である伝統武術ボカタオの闘いのシーンも必見です。
・“笑顔の国”カンボジアの魅力を知ろう
・世界遺産のアンコール遺跡群を周ろう
・クメール文化の歴史と伝統に触れよう
カンボジアは国土の大部分が平野部であり、中央を縦断するメコン川をはじめ、多数の河川が豊かな文明を育んできました。なかでも9世紀から続いたアンコール王朝時代には、中国の仏教とインドのヒンドゥー教文化を受容した高度な文明が発展していきました。
20世紀には内戦や政変による苦難の歴史を辿りましたが、現在では政治的安定を取り戻し、目覚ましい発展を遂げています。
“笑顔の国”カンボジアの国民性
カンボジアの国民性を一言で表すなら、「親切で穏やかな人柄」と表現することができます。大家族の家庭が多く、家族を大切にする文化が浸透しているため、協調性や気配りに優れた精神性が自然と育まれていくのです。
大らかな国民性は、カンボジアでよく使われる「オッパニャハー(どうにかなるさ)」という言葉にも象徴されています。観光客に対しても笑顔で話しかけてくれる人が多く、親しみやすく温かな人々の振る舞いから、笑顔の国と呼ばれることもあります。
なかでも、街中で出会う子どもたちの屈託のない笑顔は、カンボジアを旅する観光客に心の癒しをもたらしてくれます。
利便性と歴史的価値が両立された首都 プノンペン
首都のプノンペンは、カンボジアの経済成長を象徴するように近代化が進む都市です。オフィスビルや商業施設、飲食店などが並ぶ現代的な街並みは、玄関口として高い利便性を備えています。
一方で、市内最古の寺院である「ワット・プノン」や「カンボジア王宮」などの歴史的建造物も多数残っています。また、1937年にオープンしたセントラルマーケットは、大規模なショッピング施設が生まれた現在でも、変わらずに人々の生活を支える市場として機能しています。
アンコールワットがある街 シェムリアップ
首都プノンペンから北西へ約300km進むと、観光客に人気の都市シェムリアップに着きます。東南アジア最大のトンレサップ湖に面し、湖畔には水上家屋が密集する伝統的でのどかな景色が広がっています。
素朴で小さな都市であるシェムリアップが、国際的な人気を集める理由は、世界遺産「アンコールワット」を含む貴重な世界遺産地域として知られているためです。なお、アンコールワットに入場するためには、アンコール遺跡群の共通チケット「アンコールパス」が必要です。
1枚でほとんどの貴重な遺跡スポットを周回でき、期間内であれば何度でも入場可能なので、シェムリアップの観光には欠かせないアイテムといえます。
アンコール王朝で生まれたクメール文化
カンボジアには、アンコール朝から続くクメール文化が大切な伝統として発展してきました。クメール文化は、宮廷文化と民衆文化の2つの側面に大別することができます。
アプサラダンス:宮廷文化
アプサラダンスは、9世紀ごろに神に捧げる宮廷舞踊として始まったとされています。アプサラとは古代ヒンドゥー神話に登場する水の精であり、踊り子は神と人間をつなぐ役割を果たす特別な存在となってきました。
流麗で優雅な舞が特徴のアプサラダンスには、4,500種もの「型」が存在し、基本を会得するだけでも何年もかかるとされています。
ここでは、2002年に民音が招聘した『カンボジア王立舞踊団』の公演より、『アプサラの舞』をご覧いただきます。美しく繊細な手先の動きにご注目ください。
クロマー(織物):民衆文化
カンボジアの織物は、主に農村で伝承されてきた代表的な民衆文化です。赤・青・黄・緑・黒の5色で幾重にも染め上げたかすり柄が繊細な美しさを生み出し、織物は近隣諸国への輸出品としても大切な役割を果たしてきました。
織物は用途に応じてさまざまな形にアレンジされ、万能布のクロマーはタオルからストール、テーブルクロス、赤ちゃんを抱っこするスリングまで幅広く用いられます。
音楽文化
クメール文化が醸成される過程では、多様な伝統楽器も発展していきました。独自の音色を持つ楽器は、現代でも重要文化財として大切にされています。
ここでは、再び『カンボジア王立舞踊団』の公演より、伝統楽器の合奏をお届けいたします。木琴の「ロネア・エ」、ワニの形をした琴の「タケー」、笛の「スラレイ」、胡弓の「トゥロ・チュ」、環状の銅鑼「コン・トム」、小さなシンバル「チュン」による演奏をお聴きください。
カンボジアでは、クメール・ルージュによって消失した時代の音楽を取り戻すため、国を代表する歌手が残した名曲をヒップホップ・スタイルで現代に蘇らせて世界に発信するなど、クメールの音楽文化の再生・保護の取り組みもあります。
最後に、駐日カンボジア王国大使館が推薦する音楽家の演奏をお楽しみください。
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Time to Rise-ヴァンダ、コン・ナイ
カンボジアのラッパー、ヴァンダと伝統楽器チャペイ奏者のコン・ナイによるフィーチャリング楽曲。クメールのチャペイやフルートなどの伝統的な要素と、現代的なラップ・ビートが融合している。
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Cambodia Pride
2023年にカンボジアで開催された東南アジア競技大会の公式テーマソング。
皆さん、カンボジアへの音楽の旅はいかがでしたでしょうか。
音楽の旅はまだまだ続きます。次回もどうぞお楽しみに。
協力:駐日カンボジア王国大使館
Min-On Concert Association
-Music Binds Our Hearts-