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 サー・ロジャー・ノリントンは英国・オックスフォードで1934年に生まれた。父親は1954年から26年間オックスフォード・トリニティ・カレッジ学長を務めている。家族は音楽好きで、彼は才能豊かなボーイ・ソプラノだった。10歳からヴァイオリンを始め、同時に学校演劇にも熱心に参加した。ウエストミンスターで高校を卒業し、兵役に就いたあと、ケンブリッジ大学へ進み英文学を学んだ。この時期、数年にわたりヴァイオリニスト、テノール歌手、指揮者の経験を積み、またハインリヒ・シュッツ(Heinrich Schutz)に傾倒した。この後、1963年から王立音楽学校(Royal College of Music)に移り、エイドリアン・ボールト卿(Sir Adrian Boult)のもとで学ぶ。
 ノリントンは1962年にシュッツ合唱団(Schutz Choir)の前身を創立し、その後今日まで続く演奏史の研究作業に取りかかった。この合唱団で彼は多くの新しい形のコンサートを行い、主に17世紀と19世紀の数多くの作品を収録した。これらの演奏はロンドン・バロック・プレイヤーズ(London Baroque Players)と共に始めたが、後にはロンドン・クラシカル・プレイヤーズ(London Classical Players, LCP)が定期的なパートナーになった。ノリントンの研究が交響曲に及ぶようになると、活動の中心はLCPに移され、シュッツ合唱団からは次第に離れた。
 LCPはノリントンのドラマティックな指揮のもとで、オリジナル楽器によるベートーヴェン交響曲全曲演奏を行い、世界にその名を知られるようになった。EMIが収録したこれらの作品は、英国、ドイツ、ベルギー、米国で数々の賞を受賞し、今日でも現代の優れた録音に数えられている。
 彼はハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンにとどまらず、19世紀の大作曲家たち、すなわちベルリオーズ、ウェーバー、シューベルト、メンデルスゾーン、ロッシーニ、シューマンなどの作品のセンセーショナルな録音を引き続き成し遂げ、ロマン派の探究を行った。最近の素晴らしいレコーディングは、ブラームス交響曲全集、ワーグナー作品集、ブルックナー、スメタナの作品と、探究は20世紀の戸口へと続いている。
 ノリントンの総譜や響きに対する取り組み、オーケストラの規模と配置、演奏スタイルについての研究は、現代における19世紀音楽の解釈に大きな影響を与えた。その結果、当然のことながら、彼は世界中の大管弦楽団から招きを受けるようになった。今日彼は、ベルリン、ウィーン、ザルツブルク、アムステルダム、パリ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、そしてもちろんロンドンで定期的にコンサートの指揮をしている。
 彼は今日、シュトゥットガルト放送交響楽団(1998年秋以来)とザルツブルク・カメラータ・アカデミカ(Camerata Academica Salzburg / 1997年10月以来)の首席指揮者だ。また彼はロンドン・フィルハーモニック管弦楽団(London Philharmonic)、LCPの仕事を1997年1月に引きついだオーケストラ・オブ・ジ・エイジ・オブ・インライトゥンメント(Orchestra of the Age of Enlightenment)と特別な関係を保っている。
 ノリントンは1997年6月にナイトの称号を受けた。現在以下の称号を所持している。英国上級勲爵士、イタリア共和国騎士、オーストリア学術・芸術名誉十字章、ロンドン王立音楽大学のプリンス・コンソート・プロフェッサー、王立音楽アカデミー名誉会員、ケンブリッジ大学クレア・カレッジ名誉理事、ケント大学から音楽博士号、ヨーク大学音楽博士号など。 彼は現在、振付家の妻、そして息子の3人で、英国バークシャーの片田舎に住んでいる。趣味はヨット、読書、そしてヴァンデルング(散歩)だという。


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