丞相病あつかりき――。五丈原、蜀軍の軍営。司馬懿仲達を総大将とする、圧倒的な軍勢の魏軍を前に、軍師は重篤な病のなか作戦立案に辛労の限りを尽くしていた。ひとえに、先帝に誓った漢室の復興を成し遂げ、民の安穏を実現せんとする孔明の執念のみが、蜀全軍を支えていた。
 
 先帝との誓い、それは野に隠れていた青年孔明に“三顧の礼”を尽くし、彼を軍師に迎えた劉備への報恩であった。
『三顧の礼(三顧茅蘆)』
 
 「臥龍先生」と崇められながらも、青年は時を待ち、南陽の山中深くに茅蘆を構え、胸中の大志を密かに育んでいる。劉備は彼を軍師として迎えるため、自ら関羽、張飛を従え三たび礼を尽くして訪ねる。孔明はその誠意と憂国憂民の熱情に感激し、劉備に付き従うことを誓い、「天下三分の計」を披瀝する。
 
『長坂坡(ちょうはんぱ)』
 
 魏の大軍に荊州を攻められた蜀は大敗し、劉備は城を捨て、南方の江夏に逃亡。劉備に家族を託された趙雲は、糜(び)夫人と長子阿斗の救出に向かう。
 
 戦乱の中、矢で負傷した糜夫人を見つけ出すが、夫人は足手まといになると察し、趙雲に阿斗を託して井戸に身を投げてしまう。趙雲は阿斗を抱いたまま包囲の中へ切り込んでいく。
 

『赤壁(せきへき)の戦い』
 
 蜀と呉が連合して、大国・魏に大会戦を挑む「赤壁の戦い」。
 
 劣勢に置かれている呉の水軍都督・周瑜は、魏の将軍が裏切ったと見せかける策略をなし、はめられた曹操は、怒って味方の将軍を処刑してしまう。
 
 魏との決戦を前に、孔明の智謀に一目置く周瑜は、軍営に孔明を招じ入れ、互いの計略を披瀝しあう。二人の策は「火計」で符合し、蜀と呉の連合軍が大勝利を収める。

『空城計(くうじょうけい)』
 
 街亭で大勝した魏軍の総大将司馬懿仲達は更に大軍を率い、西城(せいじょう)に押寄せる。
 
 蜀軍はこの時、派遣する武将がいなかったので、孔明は決死の策「空城の計」を用い、司馬懿を退却させる。
『五丈原(ごじょうげん)』
 
 五丈原で死を覚る孔明は、延命の祈祷「七星灯」を施すが、7本の蝋燭のうち残り1本があと1日燃え続ければ叶うところにきて、魏延が誤って灯火を消してしまう。天命と知った孔明は、先王に思いを馳せつつ心静かにして後事を託す。


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