民音とドイツとの文化交流の歴史は、1972年より始まり、シュトゥットガルト・バレエ団やミュンヘン・オペラ、ハンブルク・バレエ、ケルン歌劇場をはじめ、世界に誇る団やアーティストと、のべ40回以上にわたり交流してきました。そして、日独交流160周年を記念する本年2021年、2018年の全国ツアーが好評を博した「ヴァリアン・フライ・カルテット」のメンバーとして来日し、2020年にベルリン・フィルの第２ヴァイオリンの首席奏者に就任したマレーネ・イトウが中心となり、豪華メンバーで結成したピアノ五重奏団「ブルーム・クインテット」を招聘します。プログラムは室内楽の名曲を中心にお贈りします。世界の聴衆を魅了する深く美しい音色につつまれる、至高の時間をお過ごしください。

主催：ＭＩＮ－ＯＮ
後援：ドイツ連邦共和国大使館(東京・横須賀公演)　ドイツ連邦共和国総領事館(大牟田・久留米・熊本・高松・名古屋・西宮・京都・飯塚・佐世保公演)


【予定曲目】
F. シューベルト：弦楽四重奏曲第１２番ハ短調「四重奏断章」 D.703
W. A. モーツァルト：ピアノ三重奏曲第５番ホ長調　Op.15-2, K.542
C. ドビュッシー：弦楽四重奏曲ト短調　Op.10
A. ドヴォルザーク：ピアノ五重奏曲第２番イ長調　Op.81, B.155
※予定曲目は変更になる場合がございます。予めご了承ください。

＜ブルーム・クインテット　Bloom Quintet＞
ベルリン・フィルに在籍するマレーネ・イトウ（ヴァイオリン、ベルリン・フィル第２ヴァイオリン首席奏者）、アンジェロ・デ・レオ（ヴァイオリン）、清水直子（ヴィオラ、ベルリン・フィルヴィオラ首席奏者）、シュテファン・コンツ（チェロ）の４名に、五嶋みどりのリサイタルのパートナーであるオズガー・アイディン（ピアノ）が加わったクインテット。
アンサンブルの名前は、音楽、人間性、幸福の開花（咲く）を意味し、クインテットの音楽を通し、平和の文化に貢献し、人々の心に美しい花が咲くことを心より願ってつけられた。

ブルーム・クインテットは、ベルリン・フィルの弦楽器奏者4名とピアニストのオズガー・アイディンによるピアノ五重奏団。なかでも2020年3月に第2ヴァイオリン首席奏者に就任したマレーネ・イトウと2001年から首席ヴィオラ奏者を務める清水直子がメンバーであることが注目される。ベルリン・フィルの唯二人の女性首席奏者がともにこのアンサンブルに参加しているのである。

イトウは横浜生まれ。オーストラリアで育ち、ドイツで学び、ベルリン・コーミッシェオーパーのコンサートマスターを経て、ベルリン・フィルに入団した。一方の清水は、桐朋学園大学、デトモルト音楽大学で学ぶ。1997年のミュンヘン国際コンクールで優勝し、2001年、ベルリン・フィルに加わった。そのほか、ヴァイオリンのアンジェロ・デ・レオはドイツのベーブリンゲン生まれ。チェロのシュテファン・コンツは、ウィーン国立歌劇場管弦楽団を経て、2010年にベルリン・フィルに入団。人気の“ザ・フィルハーモニクス”のメンバーでもある。彼の弟のクリストフ・コンツはウィーン・フィルの第2 ヴァイオリン首席奏者。ピアノのオズガー・アイディンは、アメリカ生まれ。トルコのアンカラ音楽院で学ぶ。1997年のミュンヘン国際音楽コンクールで最高位入賞。清水直子とのデュオのほか、五嶋みどりともしばしば共演している。

今回の公演では、ピアノ三重奏、弦楽四重奏、ピアノ五重奏と、様々な編成でこのグループの魅力を味わうことができる。とりわけ、ベルリン・フィルのメンバーだけで演奏するシューベルトの弦楽四重奏曲第12番「四重奏断章」やドビュッシーの弦楽四重奏曲が注目される。もちろん、最大の聴きものは、全員で演奏するドヴォルザークのピアノ五重奏曲第2番である。

現役首席奏者２名を擁し、女性が増え、多国籍になった今のベルリン・フィルを象徴するかのような団体。ブルーム・クインテットの初めての日本公演が聴き逃せない。
山田治生（音楽評論）