

マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンは、ジャズに新しい可能性をもたらし、これまでにない方向性を示した。それゆえ、彼らが用いたお馴染みのアレンジや即興演奏をわたしたちが踏襲するなら、オーディエンスにもおおいに喜ばれるのではないかと考えた。ふたりが残した演奏はよく知られているからだ。しかし、マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンがここにいたなら、このようなアプローチに満足したとは思えない——彼らの好みでないからだ。そこで、わたしたちは、彼らの業績を称えるのに最良の方法として、それぞれの作品に対して、そのオリジナルのフォームにとらわれず、自由な解釈をし、自分たちの新しいやり方で演奏することに決めたのである。オリジナルのコード進行をなぞるのではなく、自分たちの集中力、思い、予測のつかないことが起こったときに他のメンバーに寄せる信頼感をひとつにして、演奏に挑むことにした。これこそ、マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンが示した真のスピリットに通ずるものだと、わたしは確信している。そして、このチャレンジを遂行するにあたって、わたしたちは適切なメンバーを集めることができた——このツアーを行ったバンドは、超音速で飛ぶ飛行機のようだった。そして、本当にそれを乗りこなせたと思っている。
—ハービー・ハンコック—
今回のツアーで、わたしたちはマイルスとトレーンが書いた曲や、彼らによって有名なった曲に新しい光を当てようと試みた。それと、わたしたちは、ツアーのためにいくつかのオリジナルも持ち寄ることにした。西アフリカの楽器クラーヴェが奏でるリズムにヒントを得て書いたのが、コルトレーンに捧げた「D・トレーン」だ。これは、アフリカ音楽を元にした彼の曲に影響を受けている。このバンドで演奏することは、非常に大きな楽しみだった。何年にもわたって、何度もハービーとは、ツアーをし、レコーディングができたことは幸運である。彼と演奏するときは、まったく当たり前のことだが、彼が天才であることを思い知らされるのが常だ。ロイとは、演奏してみて、驚くほどの科学反応を感じた。彼には、若い肉体に、昔ながらの音楽の魂が宿っているようだ。マイルスにトリビュートすることで、創造の力をおおいに発揮してみせた理想的なトランペット・プレイヤーが彼である——彼は本物のミュージシャンだった。それに、ジョンとブライアンがいなければ、このバンドは成り立っていない——それぞれが高いレベルで、創造性、妙技、そして豊かな色彩感を、その音楽で発揮したのが彼だ。
—マイケル・ブレッカー—
このグループのために集まったミュージシャンと一緒に演奏することは、音楽的に素晴らしい体験だった。わたしは、いつもハービー・ハンコックに畏敬の念を抱いてきた。それというのも、彼は本当のビッグ・スターだし、境界を越えてさまざまな音楽を追及してきたからだ。「ザ・ポウイット」は1960年代のマイルス・デイヴィス・クインテットからインスパイアされて書いた曲だ。当時の彼らは伝統的なストラクチャーからはみ出して、それまでにないサウンドを示しつつあった。この曲を書いていたときには、ハービーのことが心に浮かんだ。そこで、この曲をハービーに見せたところ、彼はハーモニーを違うものにして、完璧にこの曲を書き換えてくれた。マイケル・ブレッカーのファンになったのは高校のときだ。多分、兄がトランペット・プレーヤーだからだと思うが、トランペットと演奏するやり方を本当によく知っているのがマイケルだ。ツアーの間、わたしがどんなプレイをしても、マイケルはいつもわたしに寄り添ってくれた。しばしばひとりで演奏しているような気分になれたのも、そのためだ。このツアーがわたしに教えてくれたのは、ステージにのぼっているときでもそうでないときでも、組織が音楽をよりよいものにするということだった。ハービーのそばにいるということは、本当の夢が実現したことで、それは醒めて欲しくない夢だ。
—ロイ・ハーグローヴ—
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本年度グラミー賞にて本アルバムがベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム(Best
Jazz Instrumental Album,Individual or Group)を獲得!!
またこのアルバム内のマイ・シップ(My Ship)でハービー・ハンコックが、ベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・ソロ(Best
Jazz Instrumental Solo)を獲得!!
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現代ジャズ界のリーダー、ハービー・ハンコック、コルトレーンの後継者マイケル・ブレッカー、そして若手No.1トランペッター、ロイ・ハーグローブを中心とするドリーム・バンドによる、生誕75周年を迎えたマイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンへの空前のトリービュート企画!
マイケルとロイの2管フロントに、ハービー、そしてウェイン・ショーター・クァルテットのメンバーでもあるジョン・パティトゥッチ&ブライアン・ブレイドという強力なリズム・セクションを加えた、まさに現ジャズ界で望みうる最高の布陣。
昨年9月より6週間かけて行なった全米ツアーより、トロントのマッセイ・ホールでの公演をCDの収録時間ギリギリ(78分24秒)まで収録したアルバム「ディレクションズ・イン・ミュージック~マイルス&コルトレーン・トリビュート」(UCCV-1030)が現在大好評!!
この作品は、マイルスとコルトレーンの名曲をまったく斬新な魅力で今日によみがえらせた、2002年最高の超強力作です!そしてこのCDのみならず、2003年2月、同名のコンサートがオリジナルメンバーでいよいよ実現!!
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◆POINT 1 |
ハービー・ハンコックのアコースティック編成でのピアノ・プレイが全編で堪能できる作品は、1998年の『ガーシュイン・ワールド』(スイングジャーナル 誌ジャズ・ディスク大賞<金賞>、グラミー賞受賞作)以来、実に4年振り。コンサートでも彼のアコースティックのピアノプレイが心ゆくまで堪能できる。 |
◆POINT 2 |
2001年度グラミー賞を見事獲得した、マイケル・ブレッカーの最新作『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』からも1曲(「マイ・シップ」)披露。そして、マイケルはコルトレーンの代表曲「ナイーマ」をなんと無伴奏ソロプレイ!その超絶技巧を駆使した壮絶なプレイは、まさに本作のハイライト。今回、コルトレーンに肉薄する彼の壮絶なプレイに期待が高まる!! |
◆POINT 3 |
今回レコーディング会場となったトロントのマッセイ・ ホールは、53年にチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエル、チャールス・ミンガス、マックス・ローチという、 当時のビバップ最高峰のミュージシャンが一堂に会してコンサートを行った、ジャズ・ファンにとっては忘れられない伝説のコンサートホール(約2500人収容)。それから約50年後に現ジャズ界最高のメンバーが集結した、記念すべき公演の記録がここに。この感動が、東京・大阪のステージで味わえる、最高の瞬間!! |

日程 |
開演時間 |
会場名 |
問い合わせ先 |
2003/2/18(火) |
6:30pm |
東京国際フォーラム ホールA |
MIN-ONチケットセンター 03(3226)9999 |
2003/2/19(水) |
6:30pm |
大阪フェスティバル ホール |
MIN-ON関西予約センター 06(6762)6130 |
主催:MIN-ON/後援:アメリカ大使館/協力:ユニバーサル クラシックス&ジャズ |
※本リリースはユニバーサル クラシックス&ジャズの協力で作成しました。
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