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image image  今回招聘する「サハ共和国国立民族舞踊団」は、1992年に数々のアーティストたちの協力によって設立されました。サハは世界で“口琴(ホムース)”が盛んな国で、この楽器で様々な音楽が表現されます。また、舌や喉から発する声のテクニックを駆使する歌の数々も、非常に興味深いものです。それにヤクート族の神話や叙事詩を題材にした舞踊も、暖かい人間性が感じられます。
 サハ共和国はロシア連邦のシベリア東部に位置する自治共和国です。冬の最低気温はマイナス60度以下、夏の最高気温は40度と年間の温度差は100度にも達することもあります。
 自然と人間の営みが作り出した美しい音楽と舞踊芸術、それが「サハ共和国国立民族舞踊団」です。
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 1999年9月、クラスノヤルスクを経済視察団の団長で訪問した時に、偶然サハ共和国民族舞踊団が音楽堂で公演していて、私たち一行も招待された。口に、「口琴(こうきん)」をくわえてビンビン鳴らすアイヌ民族のような音楽と、浪花節のようなつぶれた声で歌い上げる年輩の歌手が、いまも強く印象に残っている。彼の顔立ちが日本人そっくりだったので、公演が始まる直前、ロビーで思わず声をかけてしまった。
 このサハ国立舞踊団「ホトゥグ・スルス(北極星)」が日本にもやってくる。日本の8倍もあるシベリアの白銀の国、金やダイヤモンドがふんだんに採れるツンドラの国から、北方諸民族の伝統音楽と舞踊文化を紹介してくれるのである。
 その伝統芸術は、サハ民族だけではなく、エヴェンキ民族、ユカギール民族、ニヴフ(ギリヤーク)民族などの音楽や舞踊も混ざり合っている。まさにフォークロアの宝庫に接するチャンスである。
 サハ・ヤクートの音楽は、おおざっぱに分けて二種類ある。一つはドィエレチイ・ウィリアといって、低音で長く伸ばすような民族的英雄叙事詩や即興氏(トイウキ)である。もう一つは一定のリズムとストーリーのある音楽デゲレン・ウィリアで、激しい踊りや輪舞(オスオタイ)と組み合わさる。特に、若い男女の夏祭り「チョロン踊り(サハ民族)」、自然と溶け合った「ロンドル(ユカギール民族)」、民族衣装の製作と着付けを踊りにした「デレデス(エヴェンキ民族)」の輪舞は美しい。楽器もサハ・ヤクート独特のクルィイムバ(バイオリン)、口琴(ホムース)、キュプシュル(ドラム)、ディユンギュル(タンバリン)などあって、それにロシアのバラライカなどが加わって、楽しい演奏である。
 サハ・ヤクートの民間口承音楽をはじめて書き取ったのは、A・スクリャービンと言われている。彼には『ヤクート歌謡集』がある。このスクリャービンが、1917年にヤクート合唱団をつくった。その後、M・ジルコフが長い間、サハ・ヤクートの楽器演奏・合唱アンサンブルを指導してきた。ジルコフには、民族舞踊劇『ドュルルイアル・ニュルグンボオトゥル』の作品がある。ジルコフに続いてリチンスキー、グリリャン、ヴィシカリョフ、カッツ、ベレストフなどが次々とサハ・ヤクートのオペラやバレエ音楽を完成させていったのである。それらが今日、バイシェフを経て「ホトゥグ・スルス」に受け継がれているのである。
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