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History of MIN-ON.

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Vol.3 「民音音楽博物館」の歴史~「民音音楽資料館」の発足から~
スペシャルてい談

  • 創設の経緯と目的
  • 創設の準備
  • 音楽資料の収集
  • 古典ピアノの保存
  • 東京都の登録博物館へ
  • 世界からの注目
  • これまでの企画展示
  • これからの民音博物館
  • 民衆のための音楽を目指して

音楽資料の収集

――― 当初、2,500点を目指して、資料収集がはじまったというお話しがありましたが、資料は、どのように収集をされたのですか?

小林民音音楽博物館館長
小林民音音楽博物館館長

上妻:小川先生に、色々と教わりながら収集してきました。小川先生の考え方というのは、従来の邦楽等ではなく、五線譜になった西洋音楽を中心に、西洋音楽が主題になっていれば、それは収集対象資料なんだと。小川先生が、ご自分の蔵書、雑誌の論文を抜粋してきたり・・それを寄贈して頂きました。

小林:私たちは、出版された印刷物としての音楽図書を収集して歩いた。いろんな情報を手がかりに、全国の古書店を行脚したというかたちですね。

――― 古い資料や入手が困難な資料を集めるというのは、大変なご苦労があったのでは?

上妻民音音楽博物館館長代理
上妻民音音楽博物館館長代理

上妻:資料を収集する上で、比較的新しい資料は、入手しやすいものですが、過去に発刊された図書や資料といったものはなかなか手に入らないというのが苦労するところですね。遠山一行先生の日本近代音楽館は、日本人の作品を網羅するくらい資料をお持ちですから、それに関わるような資料収集は難しいという部分もありますし。印刷出版されたものに関しては、手に入れることはできますが、オリジナルはなかなか寄贈いただかない限りは・・・という部分がありますね。

設立当初は駆け出しで、そういう世界では信頼がないわけですから、寄贈というのは、よっぽど、人間が懇意にして下さる方からは協力して頂けましたけれど、資料館としては、簡単には、寄贈して頂けなかった。その分、足で稼ぐというか、全国の古書店をまめに回りましたね。

小林:今はインターネットの時代ですからね。世界のどこにどんな音楽資料があるかを簡単に調査することができるので、便利にはなりましたが、情報が早い分、カタログ等で申し込んでも、抽選ですよとか、先に売れてしまいましたとか、そういうのが多いので大変です。

上妻:先輩の音楽大学の図書館、国立さんが主ですけど、マイクロフィッシュ(縮小版のスライドのようなもの)を作られたときに、相乗りさせていただいて、そこで、かなり、いろんな文献資料を入手することができたということもございますね。

――― 現在、展示・保管されている古典ピアノや民族楽器、その他の楽器類も同時に収集されてきたのですか?

海老澤:最初は、楽器もあまりなかったようですよ。コンサートなどの活動を始められてきたところからですね。

上妻:10年経ち、幅広く色々なジャンルを手がけるようになってきて、コンサートツアーで、招聘したメンバーが帰国するときに、民族楽器を置いていってくれたり、あるいは海外出張のときに一緒に購入してきたり。少しずつですけど、民族楽器も集まってきたという感じですね。

シルクロード音楽舞踊考察団の視察風景
「シルクロード音楽舞踊考察団」の視察風景

小林:特に、1977年頃から、「シルクロード音楽の旅」シリーズが始まって、東京芸大の教授をされていた小泉文夫先生を団長に、シルクロード近辺の国々を調査団が回り、各地の珍しい民族楽器を集めてこられたのを、寄贈して頂いたりしました。小泉先生と企画をやりはじめたことがきっかけで、民族楽器が沢山集まってきたんですね。

上妻:私どもが収集している民族楽器の半分位は、その当時集まったものです。今となっては、大変貴重なものもございます。

正倉院御物「腰鼓」のルーツ「ワッチ」(パキスタン) 民族楽器 ダムニアン(中国・チベット)
正倉院御物「腰鼓」のルーツ「ワッチ」
(パキスタン)
民族楽器 「ダムニアン」(中国・チベット)
シルクロード公演
シルクロード公演
ピサ、チェンバロ
「ピサ、チェンバロ」

小林:一昨年、小泉文夫全集がCDセットで出版されましたが、実はその中で、収録されているシルクロード調査団や「シルクロード音楽の旅シリーズ」公演の模様などは、民音で行われた映像、音源が中心に使われております。

海老澤:そうですか。小泉先生のご功績は、大変なものがございますよね。芸大の方でも、その小泉先生のご遺志をぜひ受け継いでいってもらいたいですね。

上妻:はい。それと、民族楽器が集まってくる中で、日本で一番身近な楽器で、世界中で“楽器の王様”と言われているのがピアノですから、鍵盤楽器が一番良いのでは、ということで、古典ピアノも、折々に収集させて頂きました。

小林:もともと、今、展示している時代を代表する名器といわれる古典ピアノは、実際ヨーロッパまで買い付けに行き、現地で現物を見て収集していたという話を聞いております。当時、アンティーク専門の輸入楽器屋さんやアンティーク楽器コレクターがいらっしゃいましたので、その中で、いかに良質のもので、なおかつ歴史的に素晴らしいオリジナルな楽器を手に入れるか、様々な検討を重ねた上で、選定をして、収集したものばかりです。

――― 今、現在、楽器や資料はどれくらい収蔵されているのですか?

上妻:資料は全部で30万点です。中でも芸術楽器(西洋楽器)は、チェンバロが2台、フォルテピアノが6台、エラールを含めたら7台、スクエアピアノも2台ありますから、全部で11台ございます。

民族楽器は、気鳴楽器、笛類ですね。それぞれの収蔵数としては、フルート、管楽器、ラッパ類が150点。弦鳴楽器が210点。太鼓といった部類の膜鳴楽器が120点。木琴、シンバル・打楽器類といった体鳴楽器が170点。全部で650点程あります。

その他に、ピアノ音楽の普及に貢献してくれた、自動演奏ピアノ 5台、自動演奏パイプオルガン、ミュージックボックス、オルゴールも14台ありますし、オートマタが3台、蓄音機が21台と自動楽器も収集しております。音楽の発展に関わる、音楽資料としての楽器も収集しております。

オルゴール「キング・オブ・レジナ」 「ディスク式蓄音機」
オルゴール「キング・オブ・レジナ」 「ディスク式蓄音機」
「民音音楽資料館」の書庫に並ぶ音楽図書・文献
「民音音楽資料館」の書庫に並ぶ
音楽図書・文献

あとは、楽譜で、セノオ楽譜や唱歌楽譜。古本屋で集めていたときに、各種唱歌集、初版の文部省唱歌も収集できましたので、今も継続して、明治・大正期のものを収集しております。

小林:当初、音楽というジャンルに関わるような文献・資料を中心とした図書館として、幅広く資料を収集してきました。そのおかげで、博物館になってからは、楽器などの現物資料を解説するための歴史的音楽文献・資料や書籍が、豊富にあるという部分では、他の博物館にない大きな特徴といえますね。今考えれば、大変に素晴らしい進み方をしたなぁと思っています。

上妻:昭和50年に、音楽図書館協議会に加盟させていただいて、分担資料収集の話があり、民音の性格としては、色々幅広くやっているので、特に明治期から大正期、現在に至るまでの資料を中心に、日本語で書かれ、日本で出版された西洋音楽に関する音楽図書を中心に、網羅的に収集しようということになり、それを心がけて今でも資料収集は進めております。

西洋音楽の洋書については、国立音大をはじめ、各音楽大学が、専門的に集めていらっしゃるので、当館では良いだろうということで、初歩的な英語圏に関する物だけ収集しようではないかとルールを決めております。

――― 2,500点を目標として資料を収集した後、今度はそれを、一般の方にライブラリーとして提供できるようなかたちに整えていくというのは、大変だったのでは?

目録カード検索コーナー
目録カード検索コーナー
「目録カードにて検索する風景」(旧民音会館 音楽資料館)
「目録カードにて検索する風景」
(旧民音会館 音楽資料館)

上妻:どういう風にするかは、小川先生から、一から教わって、初代館長の山本も、主任司書の中村も夜学で司書の資格をとって、そこから始めたわけですね。当時は、目録カードを、全部タイプで打っていまして、1965年版の目録規則に則って、目録カードを作成していました。国立さんをはじめ、多くの音楽大学図書館の目録を参考にさせて頂きました。

小林:そういった意味では、音楽図書館協議会に加盟させて頂いたことが、大きな助けになりました。

上妻:それから、もうひとつは、小川先生を中心に、当時のライブラリアンが、武蔵野音楽大学、国立音楽大学、東京音楽大学、上野学園とか、首都圏の当時の音楽大学図書館のライブラリアンが集まって、小川先生のもとで、音楽資料の目録法の勉強会があって、研鑽させていただいて、その中で、色々と共通のルールを作り上げていったという歴史があります。あとは、当時はCDがまだない時代でしたので、LPレコードの目録の取り方を、これは小川先生が一番ですから・・それも教わりながら準備を進めていきました。全部タイプ打ちですから、大変だったという思い出はありますね。

海老澤:レコード関係はどれくらいありますか?

上妻:LPレコードだけで、約8万枚ございます。CD、SPレコード、映像資料を含めると、12万枚ございます。もうすでに、資料庫が満杯ですので、いまだに「寄贈を」という方がいらっしゃるんですが、スペースの問題で、丁重にお断りさせて頂いております。

レコード書庫 CD書庫
レコード書庫 CD書庫

小林:当時、1997年半ばまで、北新宿にありました民音は、収蔵庫のスペースというのは、充分にあったんですね。1997年9月に、信濃町に移転して参りましたので、北新宿時代と違いスペースにも限りがあります。これまでも、書庫の整理をしているんですけど、10年間は何とか持つだろうと考えていたんですが・・・。

海老澤:10年はすぐ来ちゃいますね(笑)。

楽器収蔵庫(旧民音会館 音楽資料館)
楽器収蔵庫(旧民音会館 音楽資料館)

小林:はい。どこの図書館も皆さん、同じことをおっしゃいますね。これからは、スペースの問題ですね。展示スペースも広げたいし、収蔵庫も充実させたい。一般的には、収蔵庫は、展示スペースの3倍くらいなければならないといわれていますし。収蔵庫は、第2の展示スペースと言われてますから、いつ誰が見学に来ても、収蔵庫で見学できることが理想です。

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