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Concert Reviews

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魅惑のカンツォーネ・ベスト・セレクション

ビバ!イタリア 魅惑のカンツォーネ・ベスト・セレクション
新井 健司(カンツォーネ・ライター)

イタリアン・カンツォーネから貰える、この高揚感、エネルギー感は何なのだろう!

とにかく元気が貰える、素晴らしいステージでした。
 
日本の皆さんにおなじみの選曲も良かったですね。

オープニングがおなじみの「ヴォラーレ」。リーダーのファブリジオ・フィエロ、アウレリオ・フィエロ・ジュニアそして本格的テノールのフランチェスコ・マラペーナの3人で歌い、一気に私たちをステージに引き込みました。ファブリジオが選んだツアー・メンバー、フランチェスコは大成功でしたね。オペラのサンカルロ歌劇場のメンバーとして来日経験もある本格派。マンドリンの演奏も出来て、とてもいいバランス感覚だったと思います。
 
司会進行も務めた、松本淳子さんも良い感じでからんでいて、とても自然でした。「夢見る想い」「ナポリは恋人」いずれも、カンツォーネといったら避けて通れないジリオラ・チンクエッティでお馴染みの曲ですから、ここは松本さんでしかありえませんね。
 
1部の終わりころからステージにはいろいろと動きが出てきます。フランチェスコのソロによる「帰れソレントへ」で客席は大喝采。続いてファブリジオ、アウレリオJr.、フランチェスコの3人で歌う「オ・ソレ・ミオ」ではコミカルな演出で私たちを大いに楽しませて第2部への期待感を抱かせながら1部終了。
 
第2部は「限りなき世界」。スケール感のあるカンツォーネらしい曲を男性3人で歌ってスタート。アウレリオ・フィエロ・メモリアルで故アウレリオの代表的なヒット曲を紹介。

寸劇を交えながらコミカルな展開が見られます。ナポリっぽいですね。現代イタリアでもよく知られているヒット曲「ピッツァ」はとてもモダンなアレンジが光っていました。そうそう、ダリオ・ピコーネにも触れておきましょう。トカフィエロバンドのリーダーであるダリオは2000年、2001年の公演でもバンド・リーダーとして同行していますが、ピーノ・ダニエレなどモダン・ナポレターナの旗手達との活動キャリアはしっかりと生きていました。中盤からはスケールの大きいダイナミックな曲が紹介されます。アウレリオJr.は2001年の民音コンサートにはドラマーとして参加しましたが、2年後の2003年に始まったリッカルド・コッチャンテのミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」のイタリア版でクロパン役に選ばれて、一流歌手の仲間入りをしました。この世界的なヒットミュージカルに8年間出演しました。今回の公演ではミュージカル冒頭を飾る難曲「カテドラルの時代」をドラマチックに聞かせてくれました。何度も転調を繰り返してゆく展開のこの曲のすぐ後に「カルーソー」を歌う、これは又、ダイナミックな曲です。並外れた体力に驚いた方は多かったのではないでしょうか。10歳の子供のころから知っている僕にとっては、感無量でした。
 
フィナーレに向けての展開はいかにもナポリらしい。という表現がふさわしいのではないでしょうか。第2次世界大戦前に作られた「恋のひととき」。強烈な愛の歌を現代的なアレンジで聞かせ、混沌とした、しかし、愛すべき町ナポリをたたえた「ナポリは…」で余韻を引きずりつつ緞帳が下ります。緞帳が開いてのアンコールでは一気にお祭り騒ぎ。日本語歌詞を交えての「フニクリフニクラ」では男性シンガー3人が観客席に降りて来ての大サービスぶり。最後のエネルギー大爆発!ステージと客席は完全に一体となった怒涛のエンディングでした。
 
僕にとって、リーダーのファブリジオは父の故アウレリオ・フィエロに同行してきた18歳の時から兄弟のようでした。又、僕がナポリに行ったとき、ファブリジオがポンペイに連れて行ってくれて、10歳のアウレリオJr.が一緒だった。そんな家族のような彼ら。巨匠アウレリオ無しでの16年ぶりの民音公演が上手くいくかどうか?家族としてとても不安でした。でも、流石でしたね。ファブリジオは抜群の安定感でステージをまとめ上げていました。ナポリを中心とするイタリア南部では、今でも、歌、音楽が、家業として引き継がれてゆく伝統があります。フィエロ・ファミリーは親から子へ孫へと、その才能が見事に継承されているのだと、改めて感動さへ覚えました。「遥かなるサンタルチア」は、故アウレリオが民音公演で必ず歌った名曲です。出稼ぎの為に船に乗ってナポリを離れる。カステル・デローヴォ(卵城)が目印となっているサンタルチア海岸が徐々に遠くなってゆく。サンタルチアとは聖ルチア(女性の聖人)のことでマリア信仰の強いイタリア南部のこと。「母」にも掛けられています。ファブリジオにアウレリオの影が感じられて、思わず目頭が熱くなってしまいました。
 
今回の公演は、東京及びその周辺、中部、東北となりましたが、次はぜひ他のエリアの皆さんにも楽しんでいただきたいものですね。最後に、民音とフィエロ・ファミリーとの絆を繋ぎ、公演実現に尽力したアウレリオの内弟子、松本淳子さんに、改めて感謝いたします。ありがとうございました。

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