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はじめてのタンゴ鑑賞

タンゴ演奏には欠かせない、主役楽器「バンドネオン」
バンドネオンとタンゴの歴史

バンドネオンは、タンゴが誕生した時からあるのですか?

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バンドネオン(アルゼンチン)
バンドネオン(アルゼンチン)

タンゴが誕生したのは、1880年。公式の記録=楽譜で「バルトーロ」が出版され、形式名「タンゴ」が初めて記された年です。「tango」という言葉自体はアフリカ起源ですが、生まれたてのタンゴを奏でていたのは、ヨーロッパ伝来の楽器ばかり。ギターを中心に、フルートとバイオリンを加えた編成。時にマンドリンやアコーディオン、ピアノで奏でられることもあったそうです。ドイツ生まれの蛇腹(じゃばら)楽器「バンドネオン」は、19世紀末に新大陸へもたらされ、1910年代頃からタンゴの主役楽器として定着しました。以来、もはやタンゴの鼓動とは切っても切れない関係にあります。

アコーディオンと似ていますが、兄弟ですか?

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バンドネオンとアコーディオンとは「兄弟」とも、「もっとも遠い従兄弟同士」とも言えそうです。もとは同じ、1820年代にさかのぼるアコーディオンの原形ですが、さまざまな改良が、演奏家や土地の音楽志向に応じて加えられ、異なる形や構造、ボタン配列を生み出しました。なので、同じ樹から枝分かれした、別の特徴をもつ葉か花のようなものかも知れません。ドイツでバンドネオン製作が盛んになったのは、1850年代以降のようです。

ドイツで生まれた楽器が、なぜアルゼンチンに伝わったのですか?

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いつ、誰がとは、さすがに特定できませんが、19世紀後半、港湾都市ブエノスアイレスが本格的な首都として発展をうながされると、国策によって積極的に海外移民の受け入れを開始します。土地を与えられると聞き、新天地での成功を夢見た旧大陸出身者の中には、故郷への思いをバンドネオンに託した人々もいたのでしょう。新都市の音楽「タンゴ」と、ドイツ生まれの楽器「バンドネオン」が強く結びついて大人気を博し、1910年代には、ドイツから大量のバンドネオンが、アルゼンチンへ向けて輸出されたといいます。

蛇腹(じゃばら)を広げた時と縮めた時では、音の出方は違いますか?

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フリアン・プラサ楽団
フリアン・プラサ楽団
フアン・ダリエンソ楽団
フアン・ダリエンソ楽団

原形のアコーディオンもそうなのですが、バンドネオンには、蛇腹(じゃばら)の押し引きで同じ音が出る「クロマチック式」と、違う音の出る「ディアトニック式」と呼ばれる二種類の楽器が、もともと存在していました。タンゴ演奏家の大多数は、後者の「ディアトニック式」を好んで使う傾向があるようです。蛇腹を引っ張る(広げる)時の音色のほうが鳴りが良く、逆に押し縮める時には、ややこもった音色が出ます。明快な音をずっと出し続けるために、広げきった状態から空気抜きのレバーを使い、瞬時に蛇腹を縮めるやり方があります。すると、かすかに息が漏れるような音がして、まるで人間の呼吸のよう。そんな、生き物っぽさに、バンドネオンの魅力があるのかも知れません。ちなみに、現在タンゴ界でおもに使われているバンドネオンは、左のボタン数が33個、右が38個で、5オクターブ弱の音域が出ます。最大、蛇腹は1メートルにも広がります。

タンゴ以外のジャンルの曲でも使われますか?

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故郷のドイツでは、土地の民謡からポルカ、ワルツ、マーチ等の演奏で、今も活躍しているそうです。移民によって持ち込まれた当初には、やはりポルカやワルツ、マズルカなどヨーロッパのリズムを奏でていました。現在、タンゴで主役楽器をつとめるほか、アルゼンチン国内では、一部のフォルクローレ演奏によく使われます。時にバンドネオンとアコーディオンが、ひとつのバンドで共存しているくらいです。特に、東部の大河沿岸地方や北部のフォルクローレの中で、タンゴとは別の鼓動を刻み続けているのです。

有名なバンドネオン奏者は誰ですか?

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フアン・ダリエンソ楽団
フアン・ダリエンソ楽団
オスバルド・プグリエーセ楽団
オスバルド・プグリエーセ楽団

タンゴ界は、それぞれ時代ごとに偉大なバンドネオン奏者を輩出してきました。創成期の名手フアン・マグリオ・パチョ、ビセンテ・グレコに始まって……1920~30年代に活躍し、今に至る奏法の源となったペドロ・マフィア、ペドロ・ラウレンス、リズムを強調したフアン・ダリエンソ楽団の歴代バンドネオン奏者たち。黄金の1940年代を豊かに輝かせたアニバル・トロイロ、アルマンド・ポンティエル、1950年代のリズムに革新をもたらしたオスバルド・プグリエーセ楽団の歴代バンドネオン奏者たち。異端児ながら、現代タンゴのシンボルとなったアストル・ピアソラ……民音タンゴ・シリーズで来日した最高のマエストロたち。大事な名前を挙げ忘れる愚をおかしそうなので、このへんにしておきます。

バンドネオンを使わないタンゴ曲もありますか?

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オスバルド・プグリエーセ楽団
オスバルド・プグリエーセ楽団

ギター伴奏だけで歌われるタンゴや、バンドネオンが主役となる以前のスタイルを再現する編成、管楽器だけでタンゴ演奏するグループなども存在します。でも、歴史的にタンゴの楽曲は、必ずしもひとつの決まりきった楽器編成で演奏しなければいけない、というものではありません。タンゴらしさを、例えばギター一本、ピアノ一台で表現し尽くすことさえ可能です。どんな名曲も、小編成から大編成まで、あらゆる表現法が駆使されてきました。そこに演奏家や楽団それぞれの、個性や才覚がにじみ出てくるのです。だから、どんな名曲も古めかしくならないのです。ただし、バンドネオンの刻むリズムと音色は、タンゴにとってあまりにシンボリックで、非常にイメージが強烈すぎますが。

重そうですが、どれくらいの重さですか?

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カルロス・ブオノ・タンゴ楽団
カルロス・ブオノ・タンゴ楽団

6~7kg前後です。膝の上に乗せ、蛇腹を激しく開いたり閉じたりしますから、演奏者の履くズボンへの負担は大きい。そこで、たいていのバンドネオン奏者は、当て布をズボンの上に乗せて弾きます。ステージ上の演奏家がソロ演奏をする際、椅子から立ち上がり、片足を椅子に置きながら、豪快に弾き始める前後など、特に注目してみてください。

バンドネオンは今も、新しい楽器の生産がおこなわれていますか?

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これほどタンゴが世界で人気を集めているのに、残念ながら、ほとんどの演奏家が50年以上も前に作られた古いバンドネオンを愛用しています。わずかにブラジル南部などで、現在も楽器製造がおこなわれているそうですが、音質や価格の問題から新品は敬遠され、中古品が受け継がれているのです。まったく、エコな時流にふさわしい楽器ではありませんか。バンドネオンの母国では、旧西ドイツは1970年まで製造を続けていたようですが、その後の生産は途絶えてしまいました。だから、今はもっぱら、いかに古い楽器を修理・調律できる職人を見つけられるかが、重要なのです。ブエノスアイレスで、近年すご腕の職人が登場し、一目おかれているという話もうなずけます。また、やむなく演奏家自ら、楽器の修理を手がけることもあるそうです。

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